「ボブ・ディラン超入門」:中山 康樹

超入門 ボブ・ディラン(プリズム・ペーパーバックス 002)

超入門 ボブ・ディラン(プリズム・ペーパーバックス 002)

 読了。唖然とするくらい身も蓋もない怪作にして快作。なにせ、ディラン入門の1枚目としてあげているのが、これ。爆笑してしまったが、本当にその通りだ。ディランの有名な曲って、誰かがカバーした曲と言っても過言ではないだろう。"All Along the Watch Tower"にしろ、"Knockin' on the Heaven's Door"にしろ、どう考えても、ジミヘンやクラプトンのカバーの方がわかりやすい。わかりやすい、というのは、結局、歌とメロディがおいしく聞けるようになっている、と言うことなんだろうけど。
 試しに、今、"Knockin' on Heaven's Door"を聞いてみようとして、iTunesで検索かけたら、Guns N' Roses、Television、Red Hot Chili Peppersのヴァージョンが出てきてしまって驚いた。何だ、この組み合わせ(笑)。カバーをするということは、自分なりの解釈やアレンジができると思うからやる訳だ。そういう意味では、そういう余地を感じさせるということは、ディランって、やっぱり歌下手なんじゃないか?とさえ思いたくなる。こうして聞いてみると、確かにディランのオリジナルが、あの歌い方のせいで一番メロディがわかりにくい。この本では、いや、ディランはやろうと思えば、いろいろな歌い方ができる、わざとああいう歌い方してるんだからうまい、という立場だけど、それは主観の話になるなあ。あの歌から曲の良さを掘り出す耳を持っているかどうか、そこが壁なのかな。
 で、そのカバーの話の次に紹介されるのが「不要なアルバムこの10枚」(笑)。その後、やっと、これをこの順番で聞けば、食わず嫌いが解消される「必聴の10枚」が出てくるという念の入りよう。あー、ディラン・ファン、めんどくせー、うぜー!!!10枚聞かなければ、食わず嫌いが直らないんなら、誰も好きにならないだろー。役に立たん、これは。滅茶苦茶面白いんだけど。ある意味語ること自体が、いくらでも語れて面白いのがディランなのかもしれない。この本の中でも、「ディランは何も考えていなくて、それを周りの人間が意味を見つけるために、ああでもない、こうでもない、と考えなければいけないと言うのが本当のところだ」と言っているけど、これは当たっているかもなあ。考えていないけど、何か考えているのだろう、と周りに考えさせる思わせぶり。それが、ディランなのかも。
 まあ、普通、何か1曲、なんだこれは?というくらいショックを受けてはまってしまう曲があって、そこから入っていくんじゃないかと思う。"Idiot Wind"とか"I shall be released"なんかがそんな曲だったかも。まあ、私も、そんな立派なディラン・フリークではありませんが。

ボブ・ディラン、不要なアルバムこの10枚」

ボブ・ディラン

ボブ・ディラン

Basement Tapes

Basement Tapes

Pat Garrett & Billy the Kid

Pat Garrett & Billy the Kid

Saved

Saved

Knocked Out Loaded

Knocked Out Loaded

Dylan & the Dead

Dylan & the Dead

Acoustic-Good As I Been to You

Acoustic-Good As I Been to You

World Gone Wrong

World Gone Wrong

ボブ・ディラン、必聴の10枚」

インフィデル

インフィデル

Hard Rain

Hard Rain

Street Legal (Reis)

Street Legal (Reis)

Real Live

Real Live

Bringing It All Back Home (Reis)

Bringing It All Back Home (Reis)

The Bootleg Series, Vol. 4: Bob Dylan Live, 1966: The

The Bootleg Series, Vol. 4: Bob Dylan Live, 1966: The "Royal Albert Hall Concert"

血の轍       (紙ジャケット仕様)

血の轍 (紙ジャケット仕様)

Blonde on Blonde (Reis)

Blonde on Blonde (Reis)

Bob Dylan At Budokan

Bob Dylan At Budokan

The Bootleg Series, Vols. 1-3 : Rare And Unreleased, 1961-1991

The Bootleg Series, Vols. 1-3 : Rare And Unreleased, 1961-1991

 ほとんどライブだ(笑)。これは正しいかもなあ。