東京フィルメックス・ジャン=ピエール・メルヴィル特集上映:「この手紙を読むときは - When You Read This Letter 」

1953年/104分 *日本初上映

 アンリ・アルカンの撮影が素晴らしい。普通のショットが普通に素晴らしいのには参った。遅刻していったんだけど、これは失態だったなあ。フランスの女優は淀川長治さんが言うように、ちょっとクセがある美人なのだけど、ジュリエット・グレコもそうだな。
 ストーリーは、ジゴロに妹を強姦されたジュリエット・グレコ(還俗した元尼さん)が、脅して無理矢理結婚させようとするんだけど、ジゴロは持参金を持ち逃げしようとした挙げ句、汽車に轢かれて死んでしまう、というかなり唐突な物で、まあ、どうかなあ、という感じ。でも、この唐突な感じって、現実の生々しさでもあり、アメリカ映画=プログラム・ピクチャー的でもある。
 そもそも、この映画、メルヴィルの関心は、ジュリエット・グレコや妹よりもジゴロのワルっぷりにあるような気がする。それに張り合う存在がジュリエット・グレコというのが面白い。