「時計じかけのオレンジ 完全版」: アントニイ・バージェス
時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)
- 作者: アントニイ・バージェス,乾信一郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/09/05
- メディア: ペーパーバック
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キューブリックの映画であまりに有名な「時計じかけのオレンジ」、読んでみた。
キューブリックの映画では当時の米国版の小説と同様最後の章の前で終わっている。でも、その最後の章は、「若気の至りだったんだよな」というオチなので、バージェスは「これがないとただの寓話だ」と言っていたらしいが、そんなこと書く方がよっぽどただの寓話になるような気もする。
「問題は、このような方法でもって、ほんとに、人を善良にすることができるかどうかだ。善というものは、心の中から来るものなんだよ。六六五五三二一君。善というものは、選ばれるべきものなんだ。人が、選ぶことができなくなった時、その人は人であることをやめたのだ。」(p.131)
凶悪犯罪に対する対策として、色々なことが言われるけれど、こういう考え方はカトリックでないと出てこないだろうな。いまの日本だと、即死刑とか即逮捕とか馬鹿みたいに単純な方向に簡単に行ってしまいそうな気がする。罪に対して罰を与える法はあっても、根本的なところに立ち入る役割の宗教が本当に何もないからなあ。そこをつかれると、新興宗教に走ってしまう人が多いというのも、無理はない。ある意味、この小説以上にグロテスクで即物的なのが今の「クール・ジャパン」の裏面でもある。
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