「ちはやふる」(1)〜(3):末次由紀

ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (2) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (2) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (3) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (3) (Be・Loveコミックス)

 いろいろ手を出し始めたら、「このマンガがすごい!2009」オトコ&オンナ編ベスト10読破が冬休みの宿題(?)となりつつあります。これはオンナ編3位です。
 なんと、これは競技カルタの話です。「とめはねっ!」とか、”マイナー和風文化部マンガ”というジャンルが出来つつあるんですかね。書道とかカルタとか、誰でも知っているようでいて、本格的にやろうとすると、伝統があるだけにやたらと奥が深い。その「へ〜」という蘊蓄の面白さ、そして、マンガのストーリーを作る上で導入される強引なライバルとの対決、どう見てもこいつが書道とかカルタじゃないだろうというユニークなキャラ設定。この辺が”マイナー文化部マンガ”の醍醐味でしょうか。「ハチワンダイバー」とか「3月のライオン」の将棋マンガにも通じるところがあります。
 とは言いつつも、これは基本は少女マンガの王道です。幼なじみの女子1男子2の両手に団子の宿命の三角関係、絶対かなわないモデルのお姉ちゃん、百人一首の内容を解説するために設定されたかのような呉服屋の娘、妄想と親近感を巧みにバランス設計して感情移入に誘う手腕が見事です。

噂では
せっかくきれいでも
動いたり話したら台ナシっていう
”無駄美人”だって・・・

 カルタって、侮れん。競技にしちゃうと何でもそうかもしれないけど。記憶力と反射神経、頭脳と肉体の両方を極限まで要求するんだから、極めようとするとどんどんスポーツに近づいていくんだろうな。
 きっと、これでカルタ人口が増えるんだろうな。子どもや若年層を増やしたかったら、まず、マンガだ。子どもの理科離れ、という話が出る度に、科学者マンガを書かせればいいのに、と思う。「中村修二物語」みたいな話を少年ジャンプかなんかでやれば、問題解決だって。地方大学出て地方の会社に就職して、会社が苦しくなって、「やるしかねえ!」みたいになってがんばって、もう少しだ!というとこまでくると、東京の大企業のクールなライバルが卑怯なこと仕掛けてきたり、次の段階になると、アメリカのなんとか研究所の天才みたいなのが出てきて、ちゃぶ台ひっくり返そうとし始めたりするの。そういうどろどろした話含めて、人間ドラマがある世界だ、ってことをちゃんと教えることも必要だと思うんだけどな。白衣の研究者が研究室に一人で閉じこもって真理を追究みたいなイメージじゃなくて、科学や技術の世界も人間と人間の競争だよ、という所を少しオーバーでも伝えるのは意味があることだと思うんだけどな。意外と、そういうのは、少女マンガの方だったりするかもしれないし、その方が面白いかも。