「小さな翼」

 朝、目が覚めると泣いていた。ぼろぼろと涙がこぼれていた。何が悲しいのか分からなかった。悲しいことが多すぎた。でも、そのどの理由のために泣いているのか、分からなかった。きっと、夢を見ていたのだろう。夢の中で泣いていたのだろう。でも、どんな夢なのか、もう思い出せなかった。なのに、ただ、ぼろぼろと涙がこぼれた。
 落ち着くと、さっぱりと救われたような気分になった。煙草に火を点け、窓を開けると、港に向かって飛んでいく鴎が見えた。窓の下で、鮮やかな緑色の蛾が動かなくなっていた。夕べは明かりに惹かれて蛾が沢山集まってきていた。月の光の下では、どれも蝶のように見えたのに。風に吹かれて、白黒のストライプのカーテンがゆれてめくられた。
 空では、西に向かって雲が流れていた。今日もまた悲しいことがあるのだろうか。でも、何も出来ることはないだろう。ならば、いっそ、持てる物全てを誰かに与えてしまいたい。そして、その足でどこかへ旅立ってしまいたい。この海を彼方まで、どこまでも行けば、あの空と海の境目の一筋の水平線に消えてしまえないだろうか。しかし、鴎のようにどこまでも空を飛べる翼などありはしない。
 テーブルの上の夕べの飲みかけのウイスキーの匂いが、窓を開けたので薄れていった。グラスの脇にマリファナの燃え滓がこぼれていた。これだけが、少しの間だけ、空に羽ばたかせてくれる俺の小さな翼なのだ。そう思うと、もう一粒だけ涙がこぼれた。


なんていうジミ・ヘンドリックスの姿を、この曲を聴きながら、妄想してみました(あはは)。なんか、こうして読み直してみると、滅茶苦茶安っぽくて、一晩あけて読み返すと、恥ずかしくて削除したくなりそうですが(笑)。でも、なんか、その気になって、つい入れこんでみたくなるじゃないですかぁ、余りに永遠の名曲すぎて。

 これは勿論、ジミヘン本人ではなくて、John Campbellというそっくりさんだそうです。なまじっか、このビデオの画質が良い割には、薄暗くてわかりにくいので、一瞬、えっ、と思ったけど、声も違うし、大体、右利き(笑)。なのに、わざわざ右利き用のギターのヘッドをひっくり返してつけているみたいだ。YouTubeのこのビデオのコメント欄が何ヶ月にも渡って混乱し、荒れているのが笑えた。"Are you experienced?"というトリビュート・バンドやってるそうです。楽しそうだな、こういうの。知っている曲ばかりだろうし、ライブ見てみたいです。My Space見ると、またこれがなりきっている。
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Are You Experienced? – The Tribute to Jimi Hendrix

Little Wing : Jimi Hendrix
Well shes walking through the clouds
With a circus mind thats running round
Butterflies and zebras
And moonbeams and fairy tales
Thats all she ever thinks about
Riding with the wind.


When Im sad, she comes to me
With a thousand smiles, she gives to me free
Its alright she says its alright
Take anything you want from me, anything
Anything.


Fly on little wing,
Yeah yeah, yeah, little wing

Axis: Bold As Love

Axis: Bold As Love