「新しい歴史が始まる日」BLUES CREATION/頭脳警察/紫/めんたんぴん@日比谷野外大音楽堂

見に行った理由1:頭脳警察が見たかった。
見に行った理由2:野外で昼間から気持ち良く、煙草を吸って、酒を飲みたかった。
見に行った理由3:こんな面子で大復活ライブをやると、一体どんなことになるのか?と言う野次馬的興味があった。

 15時開始だったが、色々用事を済ませて16時近くに会場入り。「会場に遅れるけど、まあ、良いか」程度の用事だったが、頭脳警察が一番手ということは考えられないし、名前の並べ方から見てもトリ前だろう、と高をくくる。この時点ですでに緩い気分だ。
 まず、野音の入り口前の屋台で、たこ焼きとビールを買って会場に入る。たこ焼きでかい。タコも大きい。これで3割位は目的達成だ。野外音楽堂なので、音は外でも良く聞こえるが、早く会場に入ろうと焦る気に全然ならない。
 まあ、とにかくやっと会場入りすると、一番手は「めんたんぴん」。このバンドも「日本のロックの歴史」みたいなところで名前は聞くが、あんまり音を聞いた覚えがない。ほー、サザンロックのバンドだったのか。現在、金沢在住だそうだ。ギター2本、ベース、ドラム、オルガン。さすがにオッサンオッサンした音だが、年季が入っている。がっしりとした演奏で、昔のままの音でどうしようもなく古い、という以外に非の打ち所がない、と言っても、褒め言葉として通じるだろう。やっている方もそう思ってやっているし、聴きに来る方も、それは分かっているので何の不満もない雰囲気。3曲くらい聞いた。ギター一人は、元ツイストの松浦氏、と後のMCで知る。
 大体、御客の入りは半分くらい。しかも、殆ど全員ちゃんと座っている(笑)。異様な風景。礼儀正しく規則を守る古き良き日本人、というフレーズが頭に浮かぶ。でも、昔は全然そうではなかったような人が多いのではないか?というか、今どきの普通のコンサートで、こんなノリだったら、やっている方もへこんでしまうだろうが、ここは今「オヤジ共和国」なのだ。
 取りあえず、熱いうちにと思い、たこ焼きを食べることに集中。真ん中から後ろはガラガラなので、ゆったりと座り、ビールとたこ焼きを堪能する。天気も良い。たこ焼き旨い。ビールも、くわー、タマラン。

 終わったと思ったら、つなぎに出てきたMCが、なんとダディ竹千代というのが泣けた。「マーシャル2段組ですよ、ハモンド・オルガンなんて久しぶりに見た、こんな重いモノ、良く持ってきた、ェ、次も使うの?!」と的確な突っ込み。

 次は「紫」。沖縄出身のハードロックバンドとして、やはり「日本ロック史」の教科書みたいな人たち。大日本帝国軍の軍旗の白地をオレンジにして、真ん中に「紫」の文字を入れたようなバンドの旗を掲げていて、ファンの人たちもそれを振っているのだが、何故紫が使われていないのか、変な感じ。
 ボーカルとベースに新メンバーを入れて若返りした、と言うことだが、調べてみると、そのベースとドラムは息子なのね。日系三世、四世か。こういうのも変だが、様になり方がやっぱり日本人離れしているという感じ。なるほど、これは当時の洋楽至上主義の時代にあっては衝撃だったろうなあ。

 でも、一番右のギター、アロハに白いスーツに白いソフト帽というのはないだろう、いくら沖縄から来たと言っても、と言う突っ込みはやっぱりしたくなるなあ。でも、このバンドもやはり年季の入り方とか尋常ではないです。
 まあ、次は、日本酒と言うことで、後ろの方で煙草吸いながら売店でコップ酒をちびちびとやりながら見ていたのだが、前のオヤジ二人組が、何か、異様に盛り上がっている。最後のあたりになって、この二人が大はしゃぎしながら、前の方へ駆けだして、一番前の柵の所まで突撃し、拳を突き上げてヘッドバンギングして盛り上がりまくっていた。何か、後ろから見ていて、嬉しくなってしまった。でも、「紫」が終わると、ちゃんと律儀に元の自分の席に帰ってきたのが、良き社会人という感じだった。演奏中に数えてみると、野音定員3000人の所、半分くらいしか埋まっていない状態で、立っている御客は15人ほど(笑、数えた)。で、さっきのめんたんぴんの時も同じくらいだったが、立っている人が違う。この辺は、応援団が来てるんだろうな。何か、全国対抗再結成オヤジバンド選手権という感じ?甲子園の再戦を30年後にしているみたいなもんだなあ。
 でも、「紫」、良かったです。やっぱり、沖縄で米軍の兵士相手にやってきたというのが大きいんだろうなあ。風格が半端じゃないです。こういう機会でないと、なかなか見る機会無いので、これは貴重だったかなあと。

 そして、いよいよ、頭脳警察。気合いを入れて、チケット通りの席に行く(Bブロックの前の方)。PANTAはフードかな、マフラーかな?照明が眩しくて良く見えないが、ボクサーのように頭を隠して登場。この辺のかっこの付け方、現役感というものです。センターにトシ、それから、ギター、ベース、ドラム、キーボードからなるサポートメンバーの面々。「さようなら世界夫人」、「銃をとれ」、「ふざけるんじゃねえよ」と言った頭脳警察の名曲を聴けただけで、もう満足。途中、物を客席に向かって投げるトシに「大人の頭脳警察なんだから」とたしなめるPANTAと言う一幕も。何か、そう言われても、違和感ないけど、何かいいなあ、とほのぼのした感じがしてしまうのが嫌じゃない。「七月のムスターファ」は、『イラクの高官の14歳の息子が、父親とボディーガードが撃ち殺された後も包囲する米軍に対して1時間銃撃で抵抗したという話を聞いて、これは曲にしなければいけない。』と思って書いたのだそうだ。『昔の野音と比べると、違うのは、(政治集会のセクトの)のぼりがないこと、客席とステージの間に階段がないことかなあ。』と、あっさりと振り返ってみせるスタンスも良いなあ。サウンド的には、やっぱりトシのパーカッションが他のバンドの音を引っ張っている。これは、やっぱりマジックだと思う。ちゃんと単独でやっぱり見たいなあ。
 で、BLUES CREATIONは、ワンカップを飲んだら、頭が痛くなってきたので、2,3曲聞いて、退場。