イタリア映画祭(4)


 特別上映の「81/2」のニュープリント上映。これも何回見たんだろうか。最初に見たのは、やはり有楽町。高校生の頃、授業をさぼって見に行ったんだと思う。今はそこにItociaなんてビルが建ってしまっている。あそこでゴダールの「気違いピエロ」や「勝手にしやがれ」、「去年マリエンバードで」なんかも見たと思う。DVDも今月末には出るみたいだ。
 この映画については、もう何の説明もいらない。多分、映画ベスト10を選べ、と言うことになれば、10人中8人はそこに入れるだろう。こういう完全な傑作というのが存在する。ビートルズの「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」みたいなものだ。すごいのは分かり切っているから、あえて何も言う気がしないという気にさせられるような種類の映画だ。でも、恐ろしいのは、なんだかんだ言いつつも、また見てしまうと、また、感動してしまうことだ。しかも、その感動が見る度に違う。
 今回のニュープリントで久しぶりに見て改めて驚いたのは、テンポが速いことだ。これは、やはり、完全に脚本の段階からつなぎを計算して撮っているんだなあ。ひたすらパンして、もうそこのカットにしか顔を出さないような人のアップが、至るところで続く。だれがエキストラでだれが出演者なのかも分からないようなシーンが流れるように続く。パンして誰かにフォーカスして、その人物を追うのかと思えば、突然別の人物が顔を出し、画面を引き継ぎ、そこにやってきた別の女性が、・・・。
 ハーレムのシーンもそうだなあ。そのカメラの動きがやはりすごい。そのカメラの華麗な動きがこの映画を永遠の傑作にしているのだと思う。フェリー二の映画としては、「カサノバ」とか、「アマルコルド」なんかの方が好きだけど、これはやはりフェリー二にとっても、特別な映画なのだと思う。