イタリア映画祭(3)

2007年/117分 監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ(Paolo & Vittorio Taviani)
『ひばり農園』

アルメニア人虐殺 - Wikipedia

 今日はタヴィアーニ兄弟の新作「ひばり農園」1本。がしっと心をつかまれて、最初から最後まで引きずり込まれた。1915年トルコでのアルメニア人虐殺の話。見終わった後、1時間くらいぼうっとなっていた。
 1915年、第一次世界大戦中にロシアとの戦争中、トルコ国内ではアルメニア人への反感が強まり、軍部はアルメニア人に対する「民族浄化」を行う。男は子供でも赤ん坊でも片っ端から殺害した。女は徒歩で行軍させ強制移住。脱走しようとしたものは、裸にされ斬首、火あぶり。この軍の戦争責任を問う裁判は1回で休止し、いまだ判決は出されていない。
 トルコ軍側の人間も、全てが悪魔のように描かれている訳ではない。その人たちが、結局は、大きな時代の流れの中で為す術もなく、昨日までの友人たちを殺さなければいけなくなっていくところに、胸をえぐられる様な思いがする。
 近年のタヴィアーニ兄弟の映画は、「カオスシチリア物語」のような詩的な文体から散文的な文体とでも言うのか、大きなドラマを長尺で見せるスケールの大きなものになってきているけれど、これはその頂点かも知れない。細かいあれこれよりも、まず、大きなストーリーをしっかりと2時間語り続ける力にあらためて感服。
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