「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」: 吉田秋生

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

 ほんとに久しぶりに読んだ吉田秋生。うまい。これは絶対いつかテレビでドラマ化されるだろうなあ。
 一番上のおねえちゃんが「お父さんの看病してくれたのあなたでしょう」と見破るとことか、スゴイ。女を作って出ていった父親の葬式に突然呼ばれても、全然悲しさがわかないというのも、なんかリアリティある。離婚の話とか、足の切断の話とか、詐欺まがいの話とか、キツイ重い話なんだけど、それをこういう風に描けるというのは、スゴイ。どう書いても後味が苦いつらい話なんだけれど、そこに一服の清涼感のある風が吹いている。成熟した吉田秋生節。
 看護婦の長女、信用金庫勤めの次女、スポーツ店でバイトしている三女、という地味な設定も、湘南ローカルっぽくて良い。そこに転がりこんでくる腹違いの妹は女子サッカーの才能ある選手、というのも、面白い。今後の展開が楽しみ。