「初春や 日の丸の旗を 買い求む パンクの君の 髪はオレンジ」

 今まで行ったことがなかったので、靖国神社に初詣して見た。おみやげ物屋で見かけたパンクの方の髪の色にお正月らしさを見つけた、めでたさ溢れる新年、新カテゴリー[俳句・短歌]の冒頭を飾るにふさわしい一句である。
 いつも武道館に行くときに横目で見てはいたけれど、足を踏み入れたことはなかった靖国神社。一度は行ってみないとなあ、と思っていたので、初詣に行ってみた。まあ、一応神道チェーン店だしー、くらいに思って行ってみたのだが、結構驚いた。

 まず、鳥居がとんでもなくでっかい。柱の太さ、高さが半端ではない。国家が英霊をまつるという名目のために神社を立てるとこのくらいはするのだ、という怖さを感じた。往時はここで天皇の臨席のもと英霊を祭る儀式を戦没者の遺族を集めてやっていた訳で、それだけの国家の大儀式を行えるだけのスケールがある。参道も長い。

 新年ということもあり、その参道に延々とありとあらゆる屋台が並んでいる。射的や焼き鳥、綿あめ、お菓子、飲み物、おもちゃ、この寒いのに金魚掬いまであったのには参った。お参りしている人も、普通の家族連れも多く、結構な賑わいだった。5時過ぎの閉門近くになって行ったので、それでもかなりすいていたが、昼間はかなり込んでいるだろう。戦没者の孫くらいの世代でもやっぱりちゃんとここに参拝するんだろうか。こんなに屋台が出ているとは思わなかったので、意外だった。

 まあ、神社自体は立派な普通の神社といっても通じるのかもしれないけれど、本殿の奥にある就遊館という靖国神社の歴史資料を説明しているところが凄い。もう閉館の時間だったので、中には入れなかったけど、零戦を展示していた。こういう宗教団体ってあり得ないと思うんだが。HP見ると、戦艦大和のマグカップなんて売っているし。まあ、期待されているものはそうなんだろうけど。まあ、びっくりした。
 それでも一応御賽銭あげて、破魔矢とお神酒を買ってきた。御賽銭だけでも十分かとも思ったが、破魔矢は確かに一番効き目ありそうだし、お神酒というのはどんなものかという好奇心でつい買ってしまった。これ、飲まずに拝まなきゃいけないんだろうか。母方の爺さま、日露戦争戦没者だから、そのうち墓参りのときにでも持っていくか。
 匂いにつられて、焼き鳥食べて、升酒飲んで、なんとなく充実した初詣気分を味わう。食べ物屋はテントがあって机まで持ち込んで、まあ、結構本格的な感じ。
 常設のおみやげ物屋を覗くと、教育勅語の湯飲みとか、皇室カレンダーとか、おいおい、そんなもの売ってていいのか?というものがいっぱいある。日の丸とか旭日旗なんかも。こんなもの誰が買うんだ、じー様ばー様御用達か、と思ったら、件のパンクの方が一生懸命お気に入りのグッズを探しておられたのが面白かった。

初春や 日の丸小物 買い求む パンクの君の 髪はオレンジ

と、最初したのだけれど、「日の丸小物」というのがやっぱりしっくり来ないので、変えた。本当はピンバッジなんか買ってたみたいなので、「日の丸グッズ」にしようかと思ったのだが、前半は出来るだけオーソドックスな和風のイメージにして、後半でガーンとかまして展開の妙を見せる構成にしたかったので、わざわざ「小物」としてみたが、どうにもしっくり来ない。まあ、日の丸モノを買おうとしていたのは事実だから、こうしてみた。賽銭箱の隣に天皇陛下の御詠歌が掲げられていたので、インスパイアされたというか、負けてなるものか(?)と火がついたというか、単に俳句や和歌のことを書いたのを思い出したというか、なんというか。でも、やってみると、ああでもない、こうでもないと考えるのが、結構楽しいぞ。