沖縄旅行まとめ(1):食べ物とお酒

 とにかく食べ物が新鮮だった。ホー、これは何だ?というものが色々あった。国際通りなんかには、アメリカ統治時代の名残もあるのか、やたらステーキ・ハウスが多いのだけれど、やっぱり地元のものを食べた方がおもしろい。
 まず、朝食。どこのホテルも結構しっかり朝食が出る。特長としては、味噌汁。どこも、必ずゆし豆腐。そのゆし豆腐がグチャグチャの形なのに硬めで独特。後、ランチョン・ミートが良く出てくる。まあ、後は大体普通か。スクランブルエッグにゴーヤが入っていたりするくらい。あとは、ラフテー(豚の角煮)も大体出てくる。
 沖縄そばというのは、あれは本当にそばなのか?うどんというには細めだが、そばと言うには太い。ズバリ太めの卵成分抜きのラーメンみたいな感じだ。あれに必ずラフテーが入ってくる。それと芋。基本的にはあっさりした薄味なのに、ラフテーだけはこってりねっとりである。そこのアンバランスが微妙な感じだ。そのはっきりしない感じが何となくなじめない。あっさりで統一されたそば・うどんと、こってりでろでろのラーメンという二つの食べ物の間のミッシング・リンクとでも言えばいいのだろうか。好き、嫌いという以前に、これは何なのだろう?という戸惑いが抜けなかった。あっさりしたものを食べたいときに食べるものなのだろうか。こってりしたものを食べたいときに食べるものなのだろうか。まあ、そこは具と味付けの問題で、色々な沖縄そばがあるのだろう。沖縄そばビギナーとしては、今回は未知との遭遇という感じだった。
 「首里そば」という有名らしいお店に行ったのだけれど、確かに、麺は歯ごたえがあった。だしもさっぱりしている。地元でも人気で売り切れになることも多いらしい。このお店がとてつもなく家庭的、というか、普通の家が急にそば屋を始めたようにしか見えない。首里城を見た後に回ったのだけれど、場所も民家のど真ん中という感じだし、外にも看板らしい看板もなく、のれんが掛かっているだけという感じ。普通のサッシの格子戸を開けて、靴脱いで、普通のお宅みたいな店内で驚いた。レジもないし。とはいえど、さすがに旨かったし、とにかく安い。並で500円か600円だったと思う。メニューも看板の「首里そば」一本で、後はおにぎりとか、そんなもの。何だったのだろう、沖縄そばとは。まだ、良く理解できていない。
沖縄グルメガイドぐるポン 沖縄の食べ物情報 - 沖縄居酒屋など食事におすすめの情報
http://www.tradition-net.co.jp/links/okinawa/food_link.htm
沖縄そば情報-沖縄そば大好き-
 そばとラフテーは自分の味覚的には想定外という感じだったのだが、珍味の類とお菓子類は素直に旨かったと言える。珍味としては、着いた日に海ぶどうスクガラス豆腐、豆腐ようの珍味三点盛りを食べたのだけれど、これがどれも旨かった。「海藻のキャビア」ともいわれる「海ぶどう」のプチプチな食感、まるで大理石の中の化石のように塩漬けの小魚を埋め込んだ「スクガラス豆腐」、米麹と泡盛で発酵させたという烏賊の塩辛にチーズをつけ込んだような味の「豆腐よう」、どれも絶妙の珍味だった。しかも見た目に美しい。海ぶどうの緑、スクガラス豆腐の白、豆腐ようの赤。どれも、一度は試してみる価値がある。いずれにせよ、豆腐というのがこれだけ沖縄の食文化に深く入り込んでいるとは知らなかった。豆腐好きにはたまらない。特に驚いたのは、「豆腐よう」。空港で買ってきて、今日本酒を飲みながら突いているのだけれど、これが豆腐とはどうしても思えない。塩辛をかけたチーズである。今度、「豆腐よう」もどきとして、ブルーチーズに塩辛をかけて食べてみようと思う。どっちも好きな食べ物だが、こんな事今まで思いつかなかった(当たり前だ)。
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美ら島物語 美味しいを訪ねる とうふよう
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 お菓子類は、それほど試していないのだけれど、自宅用に買ってきた塩ちんすこうがいける。塩が利いているので、甘いだけでなく、後味がしっかりしている。まあ、ちんすこうって、割に甘さ抑えめでボロボロとしたクッキーというイメージだったのだけれど、この塩ちんすこうは単なるちんすこうとは一味違うおいしさ。それから、サトウキビしか試せなかったけど、BLUESEALアイスクリームというチェーン店は、色々とご当地味があって、気になる。お土産物屋を見ると、特産品づくしのお菓子が山ほど並んでいて、かなり当惑したのも事実だ。観光地なので、もうありとあらゆる差別化が図られて、これは一体本当に旨いのか?紅芋とか、ゴーヤとか、シークワーサとか、とにかく入れただけなんじゃないのか?そりゃ、その味はするだろうが、それって本当に旨いのか???という物が多くて、なかなか手を出しづらい。しかも、沖縄限定が多いので、なかなか情報もない。紅いもキャラメルというのも、今食べているのだが、これも確かに紅芋の味はするが、要は、昔懐かしいボンタンアメを沖縄産の紅芋にしたものだ。確かに沖縄産の食材の味がする。しかし、旨いのか?これが良く分からないのだ。まずくはない。名前通りの味がする。ポリフェノールとかやたら健康に良い成分が入っているのも確かだろう。でも、この組み合わせはなんなのだ?不味いとも旨いとも思えない観光地のお菓子というのは、とにかく奇貨としよう。後は、まだ手をつけていないが、紅芋タルトに期待したい。これは結構メジャーらしいので、期待感がある。国際通りにもあったお菓子のポルシェさんというやたらインパクトのある名前のお店が有名なようだ。
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 タコライスも食べたけど、ケチャップごはんの混ぜ合わせる前の状態にサラダをかけたもの、と言う実も蓋もない印象。どう考えても、戦後のアメリカ占領下で生まれた食文化なんじゃないだろうか。ランチョン・ミートもそうだろう。とにかく簡単で、味がきつい。暑い時期にはこういう刺激も欲しいだろう。だから、広まるのも分かる。でも、はっきり言ってしまえば、貧しい。それがアメリカ統治化の沖縄だったんじゃないだろうか。
 こうして振り返ってみると、内地人の自分の味覚に素直に受け入れられたのは、酒の肴とお茶菓子という感じだ。それにしても、これだけの多様な食文化が存在することに驚かされた。本土や中国との長い交流の歴史がこうして食べ物として残っているというのは、すごいことだな、と思う。もちろん、沖縄独自のものも色々あるし、良い意味で沖縄というのは異国・異文化なのだと思う。実際、江戸時代には琉球王国という別の国だったわけで、そういう意味では、韓国や台湾と同じように植民地化の中で日本になった地域なのだから、当たり前といえば当たり前だが。やはり、食べ物というのは生活の基本で、その中に存在する文化というのは、本当に根の生えた文化なのだと思う。また、乱立するシークワーサなんとかやゴーヤなんとかも、今の本土と沖縄の難しい捻れた関係の一つの表れではないだろうか。
 さて、ここまで食べ物の話をしてきたけれど、珍味となれば、お酒あっての珍味である。酒の話をしないわけにはいかない。私は、正直言って、泡盛は苦手だ。結局、あの濁り感がダメなのだ。ブルーチーズは大好物だし、濃い味付けを苦にするわけではない。だが、あのアルコール度であの癖のある感じがどうにも克服できなかった。去年の春、花粉症に効果あり、と聞いて、これを買い込んで毎日飲んだ。確かに花粉症に効果があった(と思う)。でも、まだ、違和感がある。日本酒の清涼感、ビールの爽快感、ワインの芳醇さ、ウイスキーの芳香感、ウオッカの鋭利さ、どれもこれまで等しく愛し、楽しんできた積もりで、酒の種類は苦にしないつもりだった私にとって、唯一の鬼門は泡盛だった。思えば、大学1年生の時、農学部の聞き酒大会で80度の泡盛を痛飲してぶっ倒れたのが苦手意識につながっているのかもしれない。
 でも、ぶっちゃけ、割ればいいのである。薄めてしまえば、焼酎だろうが、泡盛だろうが、3杯目以降は大した違いはない(おいおい)。結局、アルコールというのは、人間にしてみれば、10度前後で飲むのが一番旨いのである。ビール然り、ワイン然り、日本酒然り。25度とか40度というのは、製造過程からの制約である。それをそのまま飲むのが良いという謂われはない。もちろん、水で割らなければ、その酒の味わいはより純粋な強烈な姿を持って受け止めることが出来る。しかし、それが毎日つきあうのに一番良いのかどうかは別問題である。
 ただ、それでも、何も手を加えずに、そのまま楽しめる酒というのが、味わいや香りをそのまま伝えられる優れた酒であることには違いない。その意味で、ワインや日本酒は優れた酒だと思う。大体、日本酒って、主食である米をを用いて造った酒だ。それって、数百年前、千年前にはどういう事だっただろうか?飢饉で飢えている人がいるときにも、自分の楽しみのために酒を造っていた奴がいたということなんじゃないだろうか。そのことを考えると、日本人ってとんでもない酒飲みだなあ、といつも思う。
 話が脱線したが、沖縄である。泡盛である。結局、沖縄の気候では、一番気候に適した酒は蒸留酒であり、アルコール度の高い泡盛なのだろうと思う。その土地にあった酒がその土地で一番旨い酒だ。内地人である自分にとって、内地で豆腐ようで飲むのに一番旨い酒は日本酒かなと思う。しかし、沖縄で毎日飲む酒ということであれば、やっぱり泡盛だと思う。その違いを云々してどちらが旨いと言うことには、意味がないと思う。沖縄で一番安くて旨い酒であることが、泡盛の存在意義だ。むしろ、焼酎よりも、米で作る以上、良い泡盛はスッキリしているのではないだろうか。個人的には、焼酎は麦焼酎が一番という気もするが、だからといって、麦焼酎なら何でも好きとか、麦焼酎ならいくらでも飲める、というような訳でもない。旨い肴、飲む場の気候、全て含めて、その酒のその酒たる所以である。
泡盛とは?
 といっても、内地の料理で泡盛の癖を受け止めきれるのか?という気もする。中華や韓国料理で泡盛というのも、良い取り合わせなのかもしれない。肴もともかく、泡盛を飲みながら聞きたい音楽というと、ジミヘンかなあ、と思う。あのグチャグチャの音の混沌とした世界と酵母のぐちゃぐちゃした得も言われぬ酒の成分。夏暑くなったら、塩のきついアタリメ泡盛を飲みながら、ジミヘン聞くと気持ちいいかなあと思う。
 あと、さんぴん茶ジャスミン茶)がよくあった。こういう香り系のお茶は苦手なのだけれど、あの空気の中では、これも良いかな、と思えるのが不思議だった。後、飲み物では、チェリオなんてまだあったのか?どころか、至るところ自動販売機はチェリオだらけだったので驚いた。