オンラインとオフラインの比率は、結構近いうちにどこかで飽和する?

米新聞社,オンライン事業とプリント事業の明暗がより鮮明に
メディア・パブ: 米新聞社,オンライン事業とプリント事業の明暗がより鮮明に
 RIAA(Recording Industry Association of America)の統計をこの前調べてみたのだけれど、音楽産業の売り上げは、CDとネット配信の売り上げの比率に変化があるものの、総額ではほぼ横這い。ネットは産業構造を変化させるが、産業の市場規模を成長させるものではない。別に、音楽自体が変わるわけではないから。という当たり前のことを、そろそろ冷静に見つめなければいけないと言う時期に来ているのだと思う。
 新聞も、既存の所はネット配信をやらないと収入は減っていくだろうけど、やればコストもかかるし、そこの力のいれ具合を間違えると紙が売れなくなったり、ネットが受け入れられなかったりするので、トータルは減る。いずれにしてもトータルは増えない。そこのバランスをとり続けるというのは、経営的に至難の業だと思う。完全なゼロ・サム・ゲームになっている。既存のメディアにとっては、経営的に見れば、何も良いことはない可能性が高い。でも、ネットで新規参入する企業はゼロから始めるのだから、失うものが何もない。やればやっただけ成長する。AppleiPod+iTunesだってそう。既存の企業は、これまでのメディアとネットを両方死にものぐるいになってやって、やっと売り上げ維持。これでは、やってられないんではないだろうか。多分、そこでいろいろな企業の世代交代が段々とおきるだろう。マクロには良いことかもしれないが、大変だよなあ。
 それと深く関わっているのは、アメリカでも日本でもPCの一般世帯への普及率は大体7割くらいで完全に頭打ちになっているということ。今後、携帯電話、特にスマートフォンの爆発的普及、高速無線通信環境の確立が無ければ、ネット配信事業も頭打ちなのではないだろうか。実は音楽配信も今年辺りはたいして成長していないし、かなり頭打ちなんじゃないだろうか。
 ネットの方が高利益率のビジネスモデルは描けるかもしれないが、単価も下がるから、ネット化がさらに進行するに連れ、市場規模は若干縮小、利益は微増、というペースでコンテンツ事業はこれから5年くらい推移するのではないか。そこで、インフラ投資に踏み切れないところは付いていけなくなるので脱落し、業界の再編が進む。ただし、ニッチでもネットだとやっていけるところもあるだろうから、ネットで参入してくる新しいコンテンツメーカーは増える。従来の大手は淘汰されていく。従来の準大手から中堅レベルの所は淘汰されて、大手に吸収されるか、インディーズに戻ってやり直す。そんな流れになるのではないか。新聞も出版も放送も音楽も映画もみんな(そうは言っても、業界毎に全然いろいろ違うだろうけど)。