「ゴスフォード・パーク」監督ロバート・アルトマン

Gosford Park
2001年、英国映画(イギリス・アメリカ合作)、137分、シネマスコープ
* 監督:ロバート・アルトマン
* 脚本:ジュリアン・フェローズ
* 音楽:パトリック・ドイル
* 衣装:ジェニー・ベヴァン

映画 ゴスフォード・パーク - allcinema

 これも見逃していたので、今日は午後から外出したのを良いことに駆けつける。
 1930年イギリスが舞台。雉撃ちのハウスパーティーに次々とお屋敷に召使をつれて集まる貴族の一族。そこに客としてハリウッドの俳優とプロデューサーがやってくる。御主人様達の人間模様と召使達の人間模様。同じ屋根の下で繰り広げられる二つの世界。とは言っても、そこはそれ同じ人間で、そんな虚構の二つの世界は夜の闇の中では交わってしまったりして、でも、それは夜の闇の中だけの話ならいいのだけれど、こんなにややこしいことやっていると、思わずどっちの世界にいるんだか忘れて、ついポロっと口が滑ってしまったりする。そんなこんなあんなこんなしているうちにも、映画プロデューサーはハリウッドに電話をかけて打ち合わせに余念がないが、次回作はイギリスの貴族の家を舞台にした殺人事件門ものだと言っていると、本当に御屋敷の大御主人様が毒を飲まされたうえに、ナイフでさされて殺されてしまう。一体犯人は?というお話。これは登場人物が本当に多くて、ややこしいけど、あらすじ的にはこんな話。
 でも、結局、“ミス・トレンサム”が何故犯人を見抜けたのか、結局分からなかった(涙)。
 それでも、やっぱり面白い。いかにもアルトマンらしい群像劇。なんと言っても、一人一人の役者が良い。人間って、結局、煩悩の塊で、身分だ、職業だ、なんて何言っても、それしかないだろ?それしかないから面白いだろ?という虚飾も含めてありのままの人間に対する肯定があるから、これだけシニカルでも嫌な気がしないんだと思う。
 最後に出てくるあの警部が最高だ。殺人事件が起こったというのに、パーティーにでも呼ばれたかのように嬉々として、あんなににこにこやってくることもないだろう(笑)。それで、片っ端から現場に残っていた物証を片づけてしまう(笑)。腹が痛くて死ぬかと思った。もう、神の使いとしか思えない。
 最後の見せ場の「次に何が起こるのか予測して行動するのが最高の召使いです。」と言うセリフは良かったなあ。
 アルトマンがイギリスの上流社会を舞台にする、というのも、なんだか不思議な気もするが、仮面を引き剥ぐ相手と思えば、不足はなかった。
 サインフェルドなんかも、やっぱり、アルトマンは随分見ているんだろうな。