本日のマンガ:「太陽の黙示録(14)」、「鈴木先生(2)」

鈴木先生 2 (アクションコミックス)

鈴木先生 2 (アクションコミックス)

 読了。
 最近、コミック雑誌は売れ行きが落ちていて、月刊ジャンプが廃刊になったという報道があった。単行本を含めて採算を取るという形にビジネスモデルが変わってきているのだ。つまり、週刊誌で面白かったから単行本を買うのではなくて、週刊誌は読まないけど単行本を買う、という人の方が多いのだ。かわぐちかいじのこのマンガなんか、もう週刊や隔週連載で読んでもかったるくて次の週まで覚えていられない。週刊だと、毎週それなりの山場や展開をしなければいけないから、それがストーリーや構成のテンポを規定してしまうと思うけれど、もうそういう範囲では漫画を書けなくなってきたと言うことだと、作品の観点からは思えばいいのだと思う。
 「鈴木先生」はすごいな。笑えば良いのか、凍ってしまえばいいのか、迷いつつもどうすればいいのかとっさに判断が付かないこの面白さ。正に「痛い」。今回は人気投票の話が中心。山崎先生は壊れて退場してしまった。鈴木先生の元カノの関先生の鈴木先生分析がすごいな。「小川病」もかなり進行してる。
 普段の何気ない生活の下に誰もが半ば無意識にそれは言わない約束だよ、と思っていることが、何かのきっかけで口に出されてしまう。その言葉で、人間関係は砕け散ってしまう。一度砕け散ってしまえば、それは二度と元には戻らない。そんな言葉がここにはあふれている。もちろん、その言葉とは、何も感動的なものや衝撃的なものではなくて、他人にはどうでも良いがゆえに決して人前には明かせない種類の個人の尊厳の基盤たるアイデンティティーの急所なのだ。肩をつかんで、前後にがんがん揺すりながら、「おまえ、俺のことを本当はこう思っているんだろ!そうだろ、そう思っているんだろ!言えよ、言ってみろよ、言わなくたって俺には分かってるんだ、おまえがそう思っているに決まっていること!そうだろ!そうだろ!そうだろ!」と、絶叫してくるようなマンガなのだ。『中学生日記』ではすまないのだ。鈴木先生とタメを張る悩みを語り合えそうなのは、気づくとクラウザー2世に変身している根岸君くらいのものなのだ。
 今一番「痛い」マンガだ。「痛い」というのは、理性を踏み外して、本気のままあっち側に行ってしまったということなんだなあ。