オカザキ先生の時代

秋の日は釣瓶落とし (アクションコミックス)

秋の日は釣瓶落とし (アクションコミックス)

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20070111000.html?C=S
 読了。なんだか、殺人事件といえばバラバラ、という今日この頃。この事件のワイドショーを昼休みに見ていて、なんだか、リアル岡崎センセーの世界だなあ、と思った。サザエさんが高度成長期の日本そのものであるように、オカザキ先生の世界はあのバブルの時代そのものの空気なのだと思う。大正デモクラシーといえば竹下夢二であるように、バブルの時代といえば岡崎京子、と言うことになるのだと思う。100年後の教科書には、きっと、そんなことが書かれているのだと思う。
 ダーリンはエリートサラリーマンのヤンエグ(死語)で、ハニーはお金とブランドものでいつも頭がクラクラ。でも、絶対ハッピーエンドはやってこない。こんな馬鹿げたパーティーはいつか終わる。それは何時のことか分からないけど、それが確かなものだということだけは知っているから、今は退屈と戦うというゲームをするだけ。いつか終わると言うことだけは知っている。だから、そのジ・エンドに向かって、踊るだけ。
 オカザキ先生は交通事故にあって、イカレてしまった。まるで、自分のマンガの主人公そのものだ。夭折というコテン的な天才コースを突っ走るのはいかにもという感じでダサかったので、天使になってしまった。そして、残された我々はオカザキ先生の素敵なファンシーな悪夢を、醜いリアルな現実として演じてみせる。オカザキ先生が一人天使として見守るこの世界で。
 オカザキ先生が天使にヘンシンした1996年、三橋歌織容疑者は21歳だった。
OKAZAKI‐ism―岡崎京子研究読本

OKAZAKI‐ism―岡崎京子研究読本