『獄中記』:佐藤優(2)

獄中記

獄中記

 読了。付箋を張りまくってしまった。
 これを呼んでいると、著者の思考の世界に入り込んでしまい、ついなんとなく、拘置所の中はラジオ以外は静寂が支配する世界のようなイメージで読んでいたのだが、最後の付録として収められた文章の中で周囲の心身に変調をきたした終身刑や死刑囚の人々の話が出てきてドキリとした。半ば脅し、半ば同類のインテリが多い所の方が良いだろうという配慮で、そういう一角に割り当てられていたのだろう。著者の精神力に感服。試練に耐えられるかどうかで、思想は試されるのだし、思想というのは、周囲のすべての状況の中における自己の存在にかかわるものだ。当たり前のことだが、それを生々しく突き付けられた。