「インテリジェンス 武器なき戦争」:手嶋龍一, 佐藤優
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手嶋も経歴を見るとNHK出身のジャーナリストということになるのだろうけれど、ただのジャーナリストを佐藤氏が「インテリジェント・スクールの校長」に推薦する訳はないので、間違いなく、何らかの国の情報機関もしくは何らかの組織のミッションを受けて表向きはジャーナリストの肩書きで何らかの情報活動に従事していたのではないか。この本の中の色々な口ぶりを見ても、それは明らかだと思う。内閣調査室なのか、自民党かどこかがバックについていたのか、背景は分からないが。それも多分業界では知っている人は知っているレベルなんじゃないだろうか。国営放送なんだから、そのくらいの仕事は普通請け負っているだろう。それが独立して小説を書いているということは、表向きはフリーのジャーナリストということにして、外交のプロパガンダ的な活動を行いつつ、何らかの裏のミッションを持って動くようになった、といったところではないか。冒頭のやり取りでも、いきなりそこを佐藤氏が大胆に突っ込んでいる。もう、怪しすぎ。
大体、こういう外交の裏表含めた話なんて、一市民としては、彼らの言っていることの真贋なんて判断できない。大体、二人とも「嘘のような本当」と「本当のような嘘」を混ぜて、肝心なところは隠して話しているからだ。それに、本来こういう裏の話をこうした人たちが出てきて本にする、というのも通常は有り得ないはずである。それが、鈴木氏を巡る騒動もあってとばっちりを受けたが故に、佐藤氏はこうして表に出てきたということになる。何とも不気味な二人なのだ。
特に、手嶋氏が会話の中で佐藤氏を「ラスプーチン」と呼ぶのが気持ち悪い。大の大人がこういうニックネームで呼び合うという感覚が、いかにも気障な外交の世界っぽい。手嶋氏って、襟だけ色が違うYシャツが似合いそうだ。
いずれにせよ、外交に対する関心を喚起することが、この二人の狙いなのだと思う。本当は、二人ともとんでもない大ボラ野郎で、腹いせに好き勝手なことを尤もらしく話しているだけ、という線もあるかもしれないが、それについて調べて裏を取れる訳ではないし、一市民的には余り乗せられない程度に楽しんで読むしかないのだが。疑心暗鬼ってこんなに面白くて楽しいことなのか、と改めて気がつかせてくれる一冊である。
- 手嶋龍一氏著作
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