「愛怨峽」:監督 溝口健二@東京国立近代美術館フィルムセンター”没後50年 溝口健二再発見”

89分・35mm・白黒、’37(新興キネマ東京)(原)川口松太郎(脚)溝口健二依田義賢(撮)三木稔(美)水谷浩(音)宇賀神味津男(出)山路ふみ子、河津芿三郎、芿水將夫、三桝豊、明芿江、加藤精一、田中春男、野辺かほる、浦辺条子、大泉慶治

 これはフィルム状態は酷いもの(特に前半)だけど、この時代のものはあるだけマシとしか思うしかない。山路ふみ子が女給になってからの変貌ぶりが、ぶっ壊れていてスゴイ。前半と後半違う女優さんでもこのフィルム状態では分からないと思う。後半の彼女のセリフや漫才のシーン(まるで石原真理子だ)の脚本がこれは良かった。汽車の窓から撮られたカーブにさしかかるところのカットとか、雪国の風景とか、ちょっとしたつなぎ的なシーン一つ撮っても、手抜き感が亡いどころかテンションが上がりそうなショットばかり。