衣笠貞之介の世界@東京国立近代美術館フィルムセンター特別展

 当日の上映の半券を見せると、入場料が半額の100円になるとは知らなかった。受付のお姉さんが親切に教えてくれた。でも、なんか申し訳ないような安さ。いつ来てもここはガラガラだし、どう考えてもペイしてない。
 常設展は、久しぶりに溝口監督のデスマスクを拝んだ位でさっと回る。デスマスクの脇に置かれている写真の、デスマスクを寄贈されたシネマテークのアンリ・ラングロワの表情が微妙で、心中察するに笑ってしまう。感動だが、不気味すぎて、思わず興奮という所だろうか。仏様から直接型を起こしているようで、しわの一本一本まで転写されてる。
 衣笠展はなかなか面白かった。いかに彼が国内外の映画人や作家と活発な交流があったか、そのエネルギーに圧倒された。「狂った一頁」の集合写真には、川端康成円谷英二の姿も。徴兵された山中貞夫から彼に宛てられた手紙なんて、涙無しには見ることができない。1930年ごろ2年間の海外視察に出かけた時の鞄には上海、、ロンドン、ストックホルムからアラビア語で書かれたものまで、世界中のホテルのシールがびっしりと張りまくられていた。