JB追悼

 夕べは、この前タワーレコードで買ってきたがほったらかしになっていた下のリンクのジェームス・ブラウンのライブのDVDを引っ張り出してきてずっと見ていた。1968年のキング牧師暗殺の直後のボストンの有名なライブだ。暴動が爆発寸前だったが、彼が決行したライブの映像を収めたものとエド・サリバン・ショーのライブを編集したもの。ボストンのライブはお世辞にも画質が良いとはいえないけれど、異様な熱気と迫力は伝わってくる。映像が残っていたというだけでも奇跡のようなものだ。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=990016&GOODS_SORT_CD=103
 このころの彼は本当にすごい。悲鳴のような叫び、力の限りの歌、ぴたっと決まるダンス、恐ろしく洗練されたJBsのクールな演奏。そして、当時の黒人のオピニオン・リーダーの一人でもあった。薬物や暴力で何度も投獄されているが、彼が生み出したファンク・ミュージックがなければ、スライもPファンクもマイケルもプリンスもいなかった。あのマイケルのムーン・ウォークだって、JBの真似だし、どうみてもJBの全盛期を越えるものじゃなかった。
 あの単調で執拗で超強力なビートのクールさと、激しい鳥のような叫びと内蔵を絞りだすような彼の歌声の熱さが、一体何故あのように一つになることができたのだろうか。有名な彼のバンドメンバーに対する遅刻罰金制や自ら名乗る通りの「ショービジネス界一の働き者」ぶり(実際、今週はステージの予定が入っていたらしい)と、薬物中毒や家庭内暴力などによる数度の逮捕など、彼の人生自体が振幅の大きなものだった。法律とかそんな低いレベルでどうのこうの言えるような人ではなかった。幾つになっても、ストリートの危うい匂いがあった。大きな魂だった。

俺がJBだ!―ジェームズ・ブラウン自叙伝 (文春文庫)

俺がJBだ!―ジェームズ・ブラウン自叙伝 (文春文庫)