「明日なき暴走 -30th Anniversary Edition」

 ここのところ、30周年の再発版が流行っている。パティ・スミスの"Horses"30周年は、アルバム丸ごと再演(+α)したライブと会わせての2枚組というユニークなものだった。RCサクセションの「ラプソディー」は当時のテープを持ち出して完全にしたもので、これは金子マリ伊藤銀次や生活向上委員会と一緒にやっていたのかと驚いた。スプリングスティーンのBTR30周年記念盤は、メイキングものと初めてのイギリス公演のライブと会わせた3枚組。メイキングものはまだ見ていない。ライブだけしか見ていないのだけれど、これが無茶苦茶凄い。

Bruce Springsteen and the E Street Band: "Hammersmith Odeon, London '75" Track Listing
1. Thunder Road
2. Tenth Avenue Freeze Out
3. Spirit In The Night
4. Lost In The Flood
5. She's The One
6. Born To Run
7. The E Street Shuffle/Having A Party
8. It's Hard To Be A Saint In The City
9. Backstreets
10. Kitty's Back
11. Jungleland
12. Rosalita
13. 4th Of July Asbury Park (Sandy)
14. Detroit Medley
15. For You
16. Quarter To Three

 最初はスプリングスティーンとピアノのRoy Bittanだけで'Thunder Road'という意表をついたオープニング。まずはご挨拶という感じか。そこからは、E Street Bandが出てきて、後は怒濤の勢い。ドラム、ベース、ギター、サックス、ピアノ、オルガン、それでも足りなければスプリングスティーンもギターを弾くから、7人構成のビッグバンド。とにかく、このバンドはみんな体力がありそうだ。無茶苦茶パワフルだし、呼吸もぴったり。パッと止めてパッと再スタートとか、そう言うところの呼吸がばっちり決まっている。スプリングスティーンはギターを振り回してバンドを指揮しているみたいで、まさにBOSSという感じ。クラレンス・クレモンズと絡むと大人と子供くらいの体格差があるのだが、これがまた格好良く見える。画像自体は暗いところがかなり潰れていて見にくいのだが、いざ見始めると、そんなこと言っていられないくらい圧倒的。余計な仕掛けなど何もないけれど、そんなもの不要の最強ライブ。