ザ・トヨタウェイ

ザ・トヨタウェイ(上)

ザ・トヨタウェイ(上)

ザ・トヨタウェイ(下)

ザ・トヨタウェイ(下)

  • 読了。トヨタというと、「カンバン」、「アンドン」といった生産技術のツールの話に行きがちなのだが、アメリカの大学の先生が長年の研究成果をまとめたこの本は、トヨタの哲学・精神に形を与えたということで、非常に優れた分析になっていると思う。日本人ではここまで客観的に見ることはできなかっただろう。日米文化の違いという問題が、むしろトヨタウエイの本質を浮き彫りにしているのではないだろうか。その日米それぞれの文化とトヨタと他の会社の文化の違いがマトリックスになっているところが面白い。ハウツー的なすぐに役に立つビジネス書の対極にあるような知的刺激に満ちた本だと思う。
  • 要は、継続的に文化のレベルで会社を学習する組織に変えなければ、持続的な成功や進歩は有り得ない、ということなのだが、これを信念として実行できるか?といえば、今や、日本企業でもなかなか出来ないのが実情ではないか。
  1. 短期的財務目標を犠牲にしても長期的な考え方で経営判断する
  2. 淀みのない流れを作って、問題を表面化させる
  3. プルシステムを利用して、作りすぎのムダを防ぐ
  4. 生産量を平準化する(ウサギではなく、亀のペースで仕事をする)
  5. 問題を解決するためにラインを止め、品質を最初から作り込むカルチャーを定着させる
  6. 標準化作業が絶え間ない改善と従業員の自主活動の土台になる
  7. 全ての問題を顕在化させるために目で見る管理を使う
  8. 技術を使うなら、実績があり、枯れた、人や工程に役立つ技術だけを利用する
  9. 仕事を良く理解し、思想を実行し、他人に教えるリーダーを育成する
  10. 会社の考え方に従う卓越した人とチームを育成する
  11. パートナーや部品メーカーの社外ネットワークを尊重し、改善するのを助ける
  12. 現地現物を徹底的に理解するように自分の目で確かめる
  13. 意志決定はじっくりコンセンサスを得ながら、あらゆる選択肢を十分に検討するが、実行は素早く行う
  14. 執拗な反省と絶え間ない改善により学習する組織になる
  • 『ビジネス書を読むより、現場で考える。道具立てからはいるのではなく、考え方を身につける。これを実行するには、10年でも足りない。学び続けなければいけない。』というのが、トヨタウエイなので、この本を読んでもマネできるものではない、という小乗仏教が、結局、この本のメッセージ。そりゃ、トヨタ強いよ。

トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして

トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして