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  • ますます、みずみずしい傑作。まるで、左官ではなく画家が塗ったとしか思えないあの荒々しい原色の壁の色。Balthusの絵を思わせる魔術的な室内。そして、いつもの様に妖しく進行しつつも決して破滅には至るまい、と知りつつも、ときめかされる、ヒッチコックのように上品で、知的で、ミステリーのような陰謀。そして、昔の作品を彷彿とさせる(なるほど、幻の企画)、時の魔術、時間反転。ジャック・リベットの名が最初から最後のシーンまで全てにまごうことなく刻印されている。これぞ、『作家』の映画。
  • この『作家性』こそ、”グローバル化(笑)”以降のベルトルッチヴェンダースが失ったものではないのか?これを銀座シネパトスなんかに取られてしまうというのは、最近の西武系やシャンテシネも映画館として程度が落ちたものだ、と思う。銀座シネパトスは、良い作品をかけてくれる良い映画館なので、くさす気は毛頭無いが、何せ場末で上を走る車の音がうるさいひどい立地の小屋である。まるで、銀座の池袋(?)。昔のカサベテスの映画みたいなものなら、こういう所で見るのも雰囲気があって一興かもしれないが、こんな大傑作を掛ける小屋ではない。もちろん、公開されないのは最悪なのだが。少なくとも、これは『ドリーマー』なんぞよりずっと立派な小屋で上映されるべきだ。勿論、アルトマンを上映しているシャンテシネも然るべきものを上映してくれはするのだが、隣の宝塚劇場と似たような客層を狙っているのがありありで、商売としてはそうなのかもしれないが、ラインナップを見るとげんなりすることが増えた。最低、小屋1つ分は見たいと思わせるものがかかっていて欲しい。