「汚れた血」:ジュリエット・ビノシュ・レトロスペクティブ

http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=193



 本人の舞台挨拶見てきました。すごく気さくで良い人でした。前から2列目だったので、本人目の前でした。何度か目があったような気がします。最初、写真撮って良いのかなあ、と思いましたが、カメラを持っている人に手振りで「よっしゃ、よっしゃ、バッチコイ!」ということだったので、デジカメで写真撮ってきました(ちゃんと持っていってる)。
 今回はすぐ隣のシアター・コクーンでの舞台で来日していて、昼の会が終わった後来てくれたみたいです。次回作は、なんとアッバス・キアロスタミの作品だそう!一体、どこで撮るんだろ?それから、今開かれている今年のフランス映画祭の団長なんだそう。上映作品を見ると、この作品のもう一人の女優、ジュリー・デルピーの監督作品があって、それが「伯爵夫人 LA COMTESSE」という映画で、「若返りのために600人もの女性を殺し、その血を浴びていたという“ドラキュラ”のモデルになった女性の物語」なんだそうだ・・・。
http://www.roppongihills.com/jp/feature/vol096/01_france2009.html
 この映画の話をしばらくしたあと、ユーロスペースの支配人さんが出てきて、カラックスと高峰秀子に会いに行ったときの話などしてくれました。その20年前の来日時に、カラックスに「エコノミー・クラスじゃ狭くて嫌だ、帰りはアップグレードしてくれ」と言われたが、「おまえより大きいジュリエットの方が大変なのに我慢しているじゃないか」と言っても納得してくれない。そこで、「ジム・ジャームッシュもエコノミーで来てくれた」と言ったら納得してくれた、という話が滅茶苦茶可笑しかったです。ジュリエットもげらげら笑っていました。それにしても、パリのポンヌフ橋を丸ごとセットで作らせる妥協を知らない男をエコノミークラスで妥協させるとは!
 「汚れた血」については、もう何も言うこと無いです。多分、10回近く見ていると思いますが、やっぱり傑作です。
 でも、アレックスが電話のコードを引っ張りながら向かいのホテルのアンナを見ようとするところとか、今なら携帯電話だからあり得ないシーンだなあ、と思ったけど、考えてみれば、これは1986年の映画なんだよなあ。23年も経ってしまったのか・・・。ショックだな・・・。でも、自分にとっては、これは自分の時間を計る基準になっているような映画なんだな、とも思う。勿論、作品は時代を超えて残るし、自分の生まれる前に作られた映画にも感動できるのが「記録」されるものの素晴らしさだけれど、封切り時に同時代として受け止めることが出来たという経験というのは、やはり特別なものなのだと思う。