「チェンジリング」:クリント・イーストウッド

映画 チェンジリング - allcinema

チェンジリング(2008) CHANGELING
上映時間 142分
映倫 PG-12
監督: クリント・イーストウッド
製作: クリント・イーストウッドブライアン・グレイザーロン・ハワードロバート・ロレンツ
脚本: J・マイケル・ストラジンスキー
音楽: クリント・イーストウッド
出演:
アンジェリーナ・ジョリー クリスティン・コリンズ
ジョン・マルコヴィッチ グスタヴ・ブリーグレブ牧師
ジェフリー・ドノヴァン J・J・ジョーンズ警部
コルム・フィオール ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長
ジェイソン・バトラー・ハーナー ゴードン・ノースコット
エイミー・ライアン キャロル・デクスター
マイケル・ケリー レスター・ヤバラ刑事
 クリント・イーストウッド監督がアンジェリーナ・ジョリーを主演に迎えた感動のミステリー・ドラマ。1920年代のロサンゼルスで実際に起きた事件を映画化。5ヶ月の失踪ののち保護され帰ってきた幼い息子が別人だったことから、本物の我が子を取り戻すため、捜査ミスを犯した警察の非道な圧力に屈することなく真実を追及していくシングルマザーの長きに渡る孤独な闘いを綴る。
 1928年、ロサンゼルス。シングルマザーのクリスティン・コリンズは、9歳の息子ウォルターを女手一つで育てる傍ら電話会社に勤め、せわしない日々を送っていた。そんな彼女はある日、休暇を返上してウォルターをひとり家に残したまま出勤する羽目に。やがて夕方、彼女が急いで帰宅すると、ウォルターは忽然と姿を消していた。警察に通報し、翌日から捜査が始まる一方、自らも懸命に息子の消息を探るクリスティン。しかし、有力な手掛かりが何一つ掴めず、非情で虚しい時間がただ過ぎていくばかり。それから5ヶ月後、ウォルターがイリノイ州で見つかったという朗報が入る。そして、ロス市警の大仰な演出によって報道陣も集まる中、再会の喜びを噛みしめながら列車で帰ってくる我が子を駅に出迎えるクリスティン。だが、列車から降りてきたのは、ウォルターとは別人の全く見知らぬ少年だった…。


http://www.changeling.jp/full.html
 本当にひどい話だ。最低なんて存在しない。これよりひどいことがあるだろうか?と思える話が、世の中には掃いて捨てる程ある。別の最低があるだけだ。
 クリント・イーストウッドの映画は、「ミスティック・リバー」、「ミリオンダラー・ベイビー」、硫黄島2部作、とどうしようもなく過酷で重い絶望的な話が続いている。どの話も、その過酷な状況下でいかに人間として毅然と生き抜くか、という戦いの物語なのだが、やはり救いが無くつらい。
 ヨーロッパの映画なら宗教的な要素が入ってきそうだが、ここでは牧師も宗教家と言うより社会活動家という感じで、アメリカは人間の作った新世界なのだなあ、と思う。死刑がここまで描かれているのも驚きだった。アメリカでは死刑を廃止した州もあるものの、世論の大半は死刑存続を求めているようだ。でも、死刑執行したからといって、何も救われないなあ、とも思う。
 アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティン・コリンズは熱演で、良かった。淡々と押さえた色彩のタッチとクリント・イーストウッド自身による音楽も良い。少年がいなくなるところまではあっさりとした運びで、裁判以降の話の部分は逆にしっかりと追っていくというのも、すごい。こういうサイコな犯罪者というのは、「ダーティー・ハリー」以来イーストウッドが扱ってきた題材で、描き方もうまくて怖い。でも、拳銃ぶっ放しても、やっぱりどうにもならんなあ、と、これを見てると思う。
 とにかく、しんどい話だった。簡単に、元気が出る、とは言えないけれど、アンジェリーナ・ジョリーを見ていると、それでも戦わなければいけないんだ、と思う。
ゴードン・ノースコット事件 - Wikipedia