「21世紀の歴史――未来の人類から見た世界」: ジャック・アタリ 読書ノート(3)
- 作者: ジャック・アタリ,林昌宏
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2008/08/30
- メディア: 単行本
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日本は世界でも有数の経済力を維持し続けるが、人口の高齢化に歯止めがかからず、国の相対的価値は低下し続ける。一千万人以上の移民を受け入れるか、出生率を再び上昇させなければ、すでに減少しつつある人口は、さらに減少し続ける。日本がロボットやナノテクノロジーをはじめとする将来的なテクノロジーに関して抜きん出ているとしても、個人の自由を日本の主要な価値観にすることはできないであろう。・・・
こうした状況に対し、日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる。こうした戦略は、経済的に多大なコストがかかる。二〇二五年、日本の経済力は、世界第五位ですらないかもしれない。(p.146)
まあ、そうだろう。
将来有望な産業を二つあげると、保険業と娯楽産業である。この二つの産業は、すでに世界経済を支配しており、今後、さらに躍進する。(p.155)
「国家の社会保障の補完的役割」、「不安定な現実から逃避するために」この二つが成長するって、どうしようもなく暗い未来。
・・・ついに電子ブックの商業化が実現するのである。これが従来の本に取って代わることはないが、一過性の読み物、絶えず更新する必要がある文章、この新たな媒体のために書き下ろされた文章などの需要がある。(p.159)
取って代わることはないだろうね。でも、「一過性の読み物、絶えず更新する必要がある文章、この新たな媒体のために書き下ろされた文章」というのは、どういうものか考えてみると面白い。
結局、先進国への移民労働者の流入は、退職者世代の財源を賄うが、中流クラスのサラリーマンには重く圧しかかることになる。(p.166)
日本も移民政策を真面目に考えなければいけないところに来ているんだろうな。高齢化社会を救う唯一の方法なんだろうな。
実際に、人々は時間こそが唯一希少性があるものだと気づき始めている。(p.177)
だから、CD売れなくても、フェスやライブには人が集まる。
こうして2030年頃には、カリフォルニアはクリエーターが集まらなくなり、カリフォルニアは産業イノベーションの利用や資金調達の中心地ではなくなる。(p.182)
もうそうなり始めているのかも。
つまり、アメリカは権力の維持に疲れ、アメリカが安全保障の面倒を見ている国々が、いまだにアメリカを敵国と見なしている忘恩ぶりにアメリカはうんざりしているからである。アメリカは自国の問題に集中して一息入れる必要がある。(p.185)
オバマって、そういうところあるかも。
しかし、日本の首都東京は、1980年代にチャンスをつかみ損ねたが、2030年においても普遍的な価値を創造する能力に欠如しているだろう。例えば、個人の自由は、東京の哲学的理想ではなく、東京は外国から才能豊かな人々を十分に集めることもできない。(p.189)
「自由」ってなんなんだろうねえ。東京とか日本から見ると、「自由」であることが一番、とは素直に思えない世の中にどんどんなっているかもしれない。性善説と性悪説、どちらに立って社会が動くかというのは大きな違い。性悪説に立ったとたん、無駄な仕事が100倍くらい増えるからなあ。宗教がないと、性善説って支えきれないかもなあ。
新たな産業は、同時に多くの場所を拠点とするであろう。市場の形式は「中心都市」なしで機能することになるのではないか。
まあ、そうだろう。あんまり面白くない結論ではあるが。