「男の隠れ家を持ってみた」: 北尾 トロ

男の隠れ家を持ってみた (新潮文庫)

男の隠れ家を持ってみた (新潮文庫)

 読了。
 一言で言えば、自嘲気味に書かれているように「オッサンの自分探し」。40を超えて、始めての子供を授かったものの、何かと人生に悩みは尽きない、そんなフリーライターとして活躍する著者が、新しい雑誌の連載記事として、「男の隠れ家」として足立区にアパートを借りて、そこで日常から一歩引いて自分を見つめ直し、新しい人との出会いを求めようとするが、・・・。というのが、書評調のまとめ。
 「男の隠れ家」というのも、雑誌広告では頻繁に目にするものの、それってなんだよ???クエスチョン・マークがいくらあっても足りないコンセプトで、思わず

そこに行けば どんな夢も
誰も皆 行きたがるが
はるかな世界
その国の名はガンダーラ
どこかにあるユートピア
どうしたら行けるのだろう
教えて欲しい
In Gandhara,Gandhara,
they say it was in India
Gandhara,Gandhara
愛の国ガンダーラ

歌ってしまいたくなります。でも、当然、シルクロードへと旅立つことも出来ないんで、ささやかに「男の隠れ家」なんでしょうが。
 まあ、お気楽な独身皇帝の私には、そんな夢持つ資格もありませんが、なんか気持ちだけは切に「うん、うん、そうだろうな、わかるよな」と言いたくなります。その辺が北尾トロさんの誠実さ、というか魅力かなと。