危機感というかけ声が空回りするとき

 危機感を持て!と言われても、危機感を持たなければいけないような状況というのは、本質的に自分一人の力では解決できないような状況だ。そういう状況で、不安感を過剰に煽られるとモラルが崩壊する。みんな、自分だけ助かる方法を考えたり、何をしてもしょうがないという無力感に捕われたりするるからだ。明日地球が終わるなんてことになったら、誰も道徳なんかに従わない。欲望とエゴイズムが噴出する。
 日本全体がそういう状況にあるような気がする。歴史的に考えると、こういう状況では、カルトや怪しげな予言者というのが出現する。でなければ、戦争で国全体が狂気に陥るかだ。単純な軍事的な戦争ではないかも知れないけれど、何か変な形で別の戦争のようなものが生まれてもおかしくはない。サイバーテロ合戦みたいな。
 チベットの話は、誰がどう見ても中国政府の帝国主義的な非が明らかなので、こういうのが一番利用しやすい。本当は、ロシアのチェチェン問題なんかも似たような話で、共産主義なんかやってたもんで自由主義の大国に遅れを取った大国が、数十年遅れで植民地問題で揉めているような印象はあるのだが。