「ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!」: 梅田望夫

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

 読了。新鮮だったのは、

(我々は)エネルギー危機と気候危機とテロの危機に直面している。
その全てが石油とつながっている。
今こそビジネスが何とかしなければならないときだ。 ビノッド・コースラ

 シリコン・ヴァレーで、グーグルからベンチャーまでエコがホットだというのも知っていたし、バラバラにはエネルギー危機、気候危機、テロの危機と石油の関係というのも認識していたけど、こういう視座でスパッと言われると、すとんと全てが一つの図式に収まった。
 あと、やっぱり、アップルのスティーヴ・ジョブスのスタンフォード大学の卒業式でのスピーチ。前に読んでいるけど、写経します。

君たちの時間は限られている。
その時間を、他の誰かの人生を生きることで無駄遣いしてはいけない。
ドグマにとらわれてはいけない。
それでは他人の思考の結果と共に生きることになる。
他人の意見の雑音で、自分の内なる声をかき消してはいけない。
最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。
心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、
もうとうの昔に知っているものだ。
だからそれ以外のことは全て二の次でいい。
                   スティーヴ・ジョブス

 こうして読んでみると、これはそのまま歌詞になりそうだなあ。以前にロッキン・オンの渋松対談で渋谷氏がアメリカのIT経営者はロックっぽいが、ホリエモンとか三木谷はせいぜい歌謡曲、と動物的な感で言ってたけど、あれは鋭い。その違いは何かというと、結局、志とか生き方というところに行き着くのだろう。実際的には、動いているお金の素性というのも、凄く影響しているはずだ。それにしても、どっちも文系なんだよな。日本のベンチャーって、文系ばっかりなんだよな、孫正義とか。技術はちゃんと分かっているけど。
 この本にも書かれているけど、やはり、シリコン・ヴァレーというかベイエリアは文化的にはヒッピーカルチャーがしっかりと影響を残している。あそこでは何かが変わった。そういう意味では、日本は結局、本質的なところで何か変わったのだろうか。崩れたことだけは間違いないけれど。
 その一方で、この本ではちゃんと「エレベーターを降りるまでにクビを言い渡すスティーヴ・ジョブス」の話も出てくるという点で、ちゃんとバランスを取っているんだけど、若い人は、このスピーチの方に目が行っちゃうんだろうな。それは健全だし、正しいことなんだけど。ただ、そこまで気がついたときに、今日本で才能のある若い人が手にいれられる選択肢が何か?と思うと、可哀相かなあ、でも、そういってもいられないのかなあ、と思う。結局、才能ある奴には、日本にさっさと見切りを付けてアメリカで勝負したら?というしかないもんなあ。