ニール・ヤングの悲痛なメッセージ:「音楽で世界は変えられない」

ニール・ヤングの悲痛なメッセージ:「音楽で世界は変えられない」: 暗いニュースリンク

「あれをやらなかったら、昔のヒッピー達が思ったことを喋ってるだけになるところだった。そんなの誰が気にする?」
「論争を巻き起こすのが目標だった。このフィルムでそれがある程度実現できると願っている。」

 まあ、それだって、やった方が良いよね。悲痛なんて言うことないと思うけどな。
 「音楽で世界を変える」って、どういうことだったんだろう。ふと思う。戦争のない平和な世界を実現するために、何故、歌を歌わなきゃいけなかったのか。何故、政治活動を行わなかったのか。それって、変だよな。政治は世界を変えられない、という絶望がまずあって、そのとき、まず頭に浮かぶ選択肢は暴力だ。テロリズムだ。高利貸しの婆を殺してテロの資金にして、良い世の中を作るんだ。それは違う、というのが、「音楽は世界を変えられる」という主張だったんだろうけど。
 暴力に対する音楽というアンチテーゼはそれなりに有効だったかも知れない。でも、それは所詮アンチテーゼで、批判の対象がなくなったとき、同時に意味がなくなったんじゃあないだろうか。
 それが誰の目にもはっきりした今、選択肢は二つだ。諦めて何もしない。それから、でも、やった方が良いよね。ニール・ヤングのメッセージは、あくまで楽観的だと思う。かれは、それでも論争を起こせると信じているのだから。「音楽で世界は変えられない」かもしれないけど、議論は起こせるだろう。そこで、誰かを変えることは出来るかも知れない。それは、性急な変化を求める人にすれば、余りに拙速かも知れないけど、はるかに他者への信頼や楽観性を要求される態度だと思う。
 彼は誰かを変えるかも知れない。何かを起こすかも知れない。それは、音楽に見合った期待だ。
 ふと思ったのだけれど、イスラエルイスラム圏で「テロリズムは止めよう!」なんて歌っている歌手っているのかな?もしいたら、それは凄く勇気のいることだと思う。