おやすみプンプン (1) : 浅野 いにお

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)

 これは、。。。やっぱり、浅野いにお、天才だよ。。。なぜプンプンは小学生なのか?お父さん、お母さんも、おじさんもあの姿なのか?かわいすぎ。なのに、なんであんなヘビーな話なのか?重すぎ。どんどん怖い話になってくるけど、どうなるんだ?怖すぎる。
 プンプンが普通の子供だったら、何にも面白くないし、きつ過ぎる話だろうなあ。あのファンシーな姿とグロテスクな現実がまぜこぜになって、同時に存在しているのが、まさに今の時代だよなあ。そのファンシーなものの現実感のなさと、あまりにグロテスクで信じられないような世の中の現実感のなさ。それが並べられたところには、不思議に現実感があったりする。
 あのブチャッとした顔がかわいいんだよな。何ともやるせなくて、吹けば飛ぶような頼りない存在、世界に自分の居場所を見つけられていないのが若者で、それは今や大人への反抗なんてものにすらなれなくて、ただ支配されるだけの存在でしかなかったり、残酷さだけが取り巻く世界で頼りないやさしさだけが頼りであったりして。それが「ソラニン」なんかは、もうむき出しで痛々しすぎるくらいだったんだけど、「素晴らしい世界」からなんか、それを神の視点からお話として描けるようになってきた。みずみずしさを失わないまま、作家として成長してきている。純粋なものが今の世の中にむき出しにされたときに被るひりひりする痛みを描かせたら、この人の右に出る人はいないと思う。