「販売員も知らない医療保険の確率」:永田 宏

販売員も知らない医療保険の確率 (光文社ペーパーバックスBusiness)

販売員も知らない医療保険の確率 (光文社ペーパーバックスBusiness)

それでは見方を変えて、純粋にマネーゲームとして見たとき、医療保険は損なのだろうか、それとも得なのだろうか。

ちょっと保険に興味があって、なんか良い本ないかなと思って本屋に行ったら、この本がたまたま出ていたので、読んでいる。細かくてややこしい話も多いのだけれど、強力に「要するに」というのをやってくれる人なので大変分かり易い。結局、

要するに定期医療保険の配当率は、所詮この程度なのである。競馬には遠く及ばず、宝くじと比べても同じかやや落ちる。純粋にお金だけで言えば、契約者は保険会社にせっせと寄付しているようなものと言えるのではなかろうか。

と言うことらしい。でなければ、商売にならないだろう。建前では、運用益=保険会社の利益なのかな、と言うくらいに思っていたけど、そんなものではなさそうだ。確率で期待値を考えたら、この本の言う通り、保険は損なんだろうな。この本でも述べられているけど、それでも実際に病気になってしまったら大変なことになる、という不安感に対する気休め、というのが医療保険の意味なんだろうな。

介護地獄アメリカ―自己責任追求の果てに

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でも、アメリカなんかじゃこういう恐ろしい話もある。
個人破産の半数は医療費が原因(Half of Bankruptcy Due to Medical Bills -- U.S. Study)
個人の自己破産の半分は病気が原因で、後半分は離婚なのだそうだ。こういう国民医療保険制度が破綻している国では、アウトの可能性がある。苦しいとか大変では済まないレベルだと、それはやはり保険に入っておいた方が良いだろうな、と思う。要はそこの必要、不必要という線をどこに引くかという問題なのだと思う。その意味で一番最後の「保障内容は出来るだけシンプルなものを選ぶべきである」というのは、実際的に重要だなと思う。まあ、要するに、医療保険にはいるくらいなら、貯金する方が確率的にはずっとマシ、という当たり前の話なのだけれど。収支としては、

  1. 保険に入る
    1. 病気になる   +
    2. 病気にならない −
  2. 保険に入らない
    1. 病気になる   −−
    2. 病気にならない 0

というところだろうか。実際は、保険に入っていても、保険の対象となる病気でなければ、実際は保険に入っていないのと同じ事なんだよな。それなら、やっぱり貯金した方が良いんだろうな。