『幽閉者』@ユーロスペース

http://www.prisoner-m.com/index.html
幽閉者(テロリスト)

113分、PG-12
監督、脚本:足立正生
出演:田口トモロヲ(M)、PANTA(肖像人物)、大久保鷹(マフラー男)、梶原譲二(真面目屋)、ARATA(サブリーダー)、本多章一(リーダー)、山本浩司(痩せの囚人)、柄本時生(少年M)、比嘉愛未(少女)、仲野茂(保安情報部の中尉)、荻野目慶子(長姉・女リーダー)

 恥ずかしながら、足立監督の映画、これまで見ていなかったので、どんなもんだろう?と思っていたのだけれど、なかなかすごかったなあ。テルアビブ空港事件の実行犯の一人である日本赤軍岡本公三がモデル。空港襲撃事件で手榴弾が不発で一人生き残り逮捕された彼は、イスラエルの独房の中に幽閉され、拷問や人体実験を受ける。精神が崩壊していく中で、自分自身の原点を彼は幻覚の中で探し求める。。。位しか、粗筋的には言いようがない。
 田口トモロヲの役名のMって、これどういう意味なんだろう、岡本公三じゃイニシャルどうとってもMにならないし、と30秒くらい悩んだけど、あ、そうか、フツーにマゾのMなんだ、とやっと分かった。113分間のうち80分くらいはイスラエルの牢獄での拷問シーンが続くこの映画、田口トモロヲがいなければできなかったかもしれない。PANTAの髭面、余りに似合っていて、最初思わず笑いそうになった。でも、やっぱりかっこいい。PANTA、役者もいけている。四方田先生、どこだったのか、見逃してしまった。
 60年代のアングラっぽい異化効果の手法がバンバン出てきて、いかにもそういう雰囲気なのだけれど、古くさくて見ていられないという風にはなっていなかったと思う。35年の年月を越えて、今の時代の役者やスタッフと合体して、突然蘇ってしまったという感じなんだろうか。
 前の回を見ていたらしい変なおっさんが杖をつきながら、大声を上げて、「バカ野郎、舐めるんじゃねえ、また、いつでも来てやらぁ!」と受付の辺りで喚いていたのが、何となくそれらしくて、見る前から気分が引き締まって良かった。

幽閉者(テロリスト)

幽閉者(テロリスト)