まとめ:使える新刊・新譜情報Web2.0サービスって?

「この人の本ならいつも買って読むので、発売日が決まったら教え… - 人力検索はてな
なんでこういう事が簡単にできないんだろうなあ、と思ったので、久しぶりに人力検索はてな」で質問してみた。以前にも、下のような幾つか類する質問はあるみたいなのだけれど、ASINやISBNが付くものなら、すぱっとできなきゃおかしいんじゃないだろうか?
マンガ単行本のリリース予定が載っているサイトを探しています。… - 人力検索はてな
お気に入りのコミックの新刊情報を得たいのですが、 例えば事前… - 人力検索はてな
上の質問の回答で上げられたサービスやソフトの中から使えそうな部分だけピックアップして、プチまとめ。さらに回答いただいたものを追加。

  • ネット上のサービス

セブン&アイの総合通販サイト|オムニ7
http://alert.ecnavi.jp/
e-hon 全国書店ネットワーク
http://event.rakuten.co.jp/media/agent/index.html
DISCOVER Your Favorite! | お好み新刊発売日ストーキングソフト。書籍やDVD,CDのチェックに!
http://www.yoteihyo.com/
http://wishlines.net/index.php
紀伊國屋書店ウェブストア

  • 巡回系ソフト

http://homepage2.nifty.com/valhell/delphi/booksscheduler.html
DISCOVER Your Favorite! | お好み新刊発売日ストーキングソフト。書籍やDVD,CDのチェックに!
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/net/se370543.html
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/net/se397391.html
http://www.vector.co.jp/soft/win95/net/se390826.html
AmazonPrice SELF CHECKの詳細情報 : Vector ソフトを探す!

 この中で使えそうなのは、Webサービスとしては”e-hon 全国書店ネット”"Wishline"かなあ。CD・DVDも対応しているし。トーハンということは、本の取り次ぎなので、とにかく本が売れれば儲かるというところがやっているので、変なバイアスとかなさそうで良いかも。Wishlineは、シンプルだし、これが一番良さそう。ただ、運営がどれだけ安定しているか?そこだけ不安。セブンアンドワイも良さげだけど、セブンイレブンは通勤の途中にないので、寄り道するのが面倒だから、使い買ってイマイチになりそうだし。@stationと連動すれば、最強なのにな。巡回ソフトは、もう立ち上げるだけでたるいなぁ、使わなくなりそうだなあ、という気がする。
 e-hon 全国書店ネットとWishlineを試してみることにする。こういう事を調べるには、「はてな」はやっぱり強力、と再認識。

 で、まず、Wishlineをやってみたのが、これ。
http://wishlines.net/items.php?u=golgo139
公開してしまうと、自分の頭の中の成分というか、お里が知れるという感じで、スンゴイハズカシイけど、まあ、いいや。シンプルで、使えそう。ただ、キーワード60個というのが、結構すぐ一杯になりそうな予感。音楽は、色々な情報サイトがあるし、割に情報が溢れているから、余り使わないかなあ。いつの間にか出ているけど、新聞広告が出るほど売れる本でもないので、ついつい見過ごしがちな本、というのが、一番これが使える対象かな。DVDとかCDは対象が多すぎてカバーしきれないかもしれない。音楽については、iTunesのデータを吸い上げて、そこからデータを作ってくれるVeena!が、今最強だと思う。あれを越える「お知らせ」はキーワード手入力ベースでは無理。本とマンガに絞って当面は利用しようかなあ。やっぱり。
 e-honも登録してみた。でも、キーワードが5組までしか許されないToT。Wishlineは、60件まで許されるし、マンガと書籍だけで36件入力しちゃったのに比べると、5件は少なすぎる。使えない!
 という訳で、Wishlineが最強。

 こんなこと、技術的にはいくらでもできそうなのだけれど、何故、こういう事がポピュラー/プラットフォームのサービス(GoogleとかAmazonとかはてなとかYahooとか)の中でできないのだろう?技術よりも、流通とかビジネス的な部分の問題なのだろうな、多分。発売の予定が中止になることだってあるし。出版社は自分のところしか情報無いから、これをやるメリットがあるのは、小売りや取り次ぎの問屋と言うことになる。でも、情報だけ出しても、ネットのサイトで買ってくれるかどうか分からないから、小売りのAmazonよりも問屋の方がメリットは大きいかもしれない。
 でも、Amazonでも充分やる意義はあるはずなのだが。今のAmazonの「おすすめ」の使えなさは唖然とするレベルで、MP3プレーヤーを買うと、また別のMP3プレーヤーが「おすすめ」に出てくるくらいで笑ってしまう。普通、MP3プレーヤーを買ったなら、ヘッドホンも如何でしょうか?くらいは知恵が回っても良いんじゃないだろうか。「ポテトもいかがですか?」以下のレベルだもんな。さすがに、マクドのアルバイトでもビッグマック、もう一個いかがですか?」とは言わないぞ。ソニーの「スゴ録」のキーワード自動録画も当たりはずれが大きくて、余り頼りにならない。キーワードで検索すれば何でも欲しい情報が「自動的」に手に入る、というのは、まだまだ先の話なんだろうか。
 多分、このニーズは個人差も大きいけれど、分野毎の差も大きいと思う。書籍、雑誌、コミック、CD、DVDといったものでも、随分違いはあるはずだ。今回の人力検索の回答頂いた中でも目立ったけど、コミックやアニメ系が一番充実している。さすが、オタク系の方々のネットリテラシーは高いことを実感した。テクノロジーとオタクの親和性の高さはやはり群を抜いている。ITがオタクの世界を推進する→オタクがさらにオタク化する→新たなITサービスへのニーズが生じて、それを実現するために新たなITサービスが開発される→ITがオタクの世界を推進する、と言うポジティブスパイラルというか、蟻地獄というか、奇形化というか、そういう状況が生じている。
 このいわゆる「おすすめ」「レコメンド」という機能についてつべこべ言いたくなるのは、要するに、「俺の好きなものを、俺の欲しいものを、たかがコンピューターのような畜生の分際に理解されてたまるものか!」という気持ち(笑)があるからだ。甘いものを食べれば、次はしょっぱいものが食べたくなる。辛いものが嫌いでも、どこそこの担々麺だけは別。人間の好き嫌いなんてそんなものだ。こういう使えないサービスを触っていると、「これからは検索エンジンが情報社会を支配する!」なあんて言って、人間の趣味の機微を理解せず、ロクに本を読んだり音楽を熱心に聞いたりもしない技術にしか興味がないエンジニアがいい気になって使えないもの作ってるんじゃないよ!という気がしてくるのだ。半端に自動化された「おすすめ」なら、自分がチェックしたいものを確実に拾ってくれる「お知らせ」の方がよっぽど役に立つんじゃないだろうか。「おすすめ」で、「ぁ、全然外れてるけど、この本面白そうだ」ということもあるから、発見の機会になることはなるのだけれど、それは「おすすめ」が進歩していけば減っていくだろうし、副作用が目的になるようでは結局使えないという評価に落ち着くだろう。「ぁ、こんな本もあったの」という効用もあるから、全否定しないけれど、使えないと思うことの方が圧倒的に多いし、ゴミ情報が多すぎて鬱陶しいというのが、今の個人的評価。
 こうした「おすすめ」がトップダウンだとしたら、一人一人の声をボトムアップで集める集合知とかConsumer Generated Media(CGM)は、そのアンチテーゼと言うことになるのだろう。実際、Amazonはユーザー・レビューを取り入れることで、機械的な「おすすめ」と相補的な形でサービスを提供しようとしている。当然、CGMは良くも悪くも生の声なので、玉石混淆である。そこのフィルターとしては、Amazon以外の第三者的なブログを活用するためにアフィリエイトが用意されている訳だ。こうしてみると、やっぱりそれなりに良くできた仕組みになっているな、と思う。
 それだけに、自動生成の「おすすめ」と放任主義の「ユーザー・レビュー」の中間あたりで、精度の高いサービスを提供する「おしらせ」とか、目利き・セレクトショップ的機能の提供が、そろそろネット・コマースの世界でも勝負になってくるんじゃないだろうか。「おすすめ」より「おしらせ」では。