「園芸家12カ月」: カレル・チャペック

園芸家12カ月 (中公文庫)

園芸家12カ月 (中公文庫)

 読了。抱腹絶倒の園芸エッセイ。おもしろかった。
 カレル・チャペックといえば、「ロボット」や「山椒魚戦争」などのSFの嚆矢と言うべきチェコの作家だけれど、小学生の頃に「山椒魚戦争」を読んだことがあるような気がすると言うくらいで、いとうせいこうの園芸もので言及されているので、読んでみたが、これを今の日本版的にやりたかったのだなと良く分かった。
 趣味というのは、興味がない人にしてみれば「何故そんなことをするのか?何が面白いのか?」としか思えない。種を蒔いて、水と肥料をやれば、花が咲く。そんなめんどくさいことをして何が面白いのか?と言われても、説明のしようなんてない。理由なんて何もなく、面白いと思うからやっているだけの話だ。ということは、理由がない行動なので、はまりまくって暴走しても理由で止められるものではない。愚かな話だけれど、人間ってそういう愚かなものなのだと思う。むしろ、それが人間の人間たる所以なのかもしれない。
 訳注が詳しくて、可笑しい。
 この本の何ともほのぼのとした挿絵を描いた兄のヨゼフは1945年に強制収容所で亡くなったそうだ。