『姜尚中の政治学入門』

姜尚中の政治学入門 (集英社新書)

姜尚中の政治学入門 (集英社新書)

七つの大きなテーマを上げ、それについて論考するスタイルで書かれていて読みやすい。各章に推薦書までついている。
第一章 アメリ
第二章 暴力
第三章 主権
第四章 憲法
 この辺まで来た。「政治学入門」としてはこうなるんだろうけど、経済学から見たらどうなんだろうな、と思うところは多々ある。「アメリカ」の現在の産業構造の変化を虚業化と見るのは、余りに物質的な見方に思える。
 「暴力」という主題は、政治学という枠組みからは収まりがつかない。まあ、こんな新書本一冊でこれら全てを論じることなど出来ないが。それなりにフレームを示しているという意味では、教科書的であって入門としては、十分親切とは言える。むしろ、入門でこういうテーマを取り上げたということの方が重要だ。
 「主権」という概念も起源にまでたどって考えれば、それが自明のものなどではないと言うことに目を開かせてくれる、と言う点で、この辺りは為になる。
 第四章の「そもそも憲法とは、権力者による力の行使を、どのように縛るのかを定めたもの」と言うのも、時宣を得た指摘だと思う。
 明確な答などそう簡単に得られるものではないが、現在の様々な問題を考えるためのきっかけを提示しているという意味では良い本だと思う。
各章の推薦書:
第一章 アメリ
アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー〈第1巻(下)〉 (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー〈第1巻(下)〉 (岩波文庫)

第二章 暴力
職業としての政治 (岩波文庫)

職業としての政治 (岩波文庫)

第三章 主権第四章 憲法
権利のための闘争 (岩波文庫)

権利のための闘争 (岩波文庫)