ドイツ映画祭<ルビッチ再発見> W 「陽気な監獄」 X 「牡蠣の王女」

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 パーティーで引っ掛けた仮面の美女は実は女房だわ、ストーカーは旦那の代役で留置所に送ってしまうわ、メイドは奥さんの服を勝手に借りてZ公爵のパーティーに行ってしまうわ、留置所では賭けポーカーを始めてしまうわ、もう滅茶苦茶(笑)。百万長者の娘オンリーのお嬢様クラブのアル中患者撲滅集会は朝からワインで乾杯、放り込まれた患者がいい男と見れば、誰が介護するかはボクシングで決める、娘がちゃんと初夜を務めているかどうか、ゴリラみたいなおやじはカギ穴から覗きに行く。もう無茶苦茶(笑)。牡蠣長者の娘のおめかしシーンも、メイドさんがまるでミュージカルのようにお嬢様を洗いまくるあのテンポの良さに抱腹絶倒。良くこんな映画作っていたよなあ。ほとんどパンクなまでのこの馬鹿馬鹿しさ。これが”ソフィスティケイテッド”コメディというのは、このきわどい話をあっけらかんとやってしまうということなのだけれど、やっぱり、ルビッチはエロい。この大胆さが何とも痛快。
 この回の次もついでに見ようかと思ったら、それが「マサイの恋人」という話で、マサイ族の青年と恋に落ちてしまい、互いの生活や慣習の違いに苦しむ、という話で、冗談みたいな話だと思ったら、去年のドイツの興行収入1位、全独が涙した、という代物らしい。有色人種の移民が増え続けるEUでは、こういう話は冗談にはならないのだろう。興味も湧いたが、それ以上にそんな人の悩みに付き合うのはどうにも野暮ったくて疲れそうで、結局見るのをやめた。