シド・バレット追悼

BBC NEWS | Entertainment | Pink Floyd's Barrett dies aged 60

Barrett

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Madcap Laughs

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Piper at Gates of Dawn

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 プログレのカテゴリーに入るバンドというと、キング・クリムゾン(第1期"Red"まで)くらいしかのめり込んだことないんだけど、Syd Barettだけはちょっと別格という感じだった。Pink Floydも、あまりのめり込んだ覚えがない。でもSyd Barettのソロアルバムだけは、これは何なのだろう?という超特大の?マークのままだ。フロイドのアルバム1枚とソロアルバム2枚、そして60で死ぬまで病院に入ったり出たり、あとは謎のまま。"Domino"や"Baby Lemonade"を今聞いているのだが、これを名曲と言って良いのだろうか?という気すらする。半ば向うの世界に足を踏み入れている人が、こちら側の世界にポトリと落としていってしまった半分向こう側の何か。それを、「好き」とか「すごい」とか「天才」だなんて言ってしまっていいのだろうか?
 彼が死ぬ前にどういう精神状態だったのかは分からないが、もう、こちら側の我々がああだともこうだとも言えないような状態だったとしたら、彼の肉体の死に対して、既に何も言えることは無かったということになる。別に、彼と直接何か話が出来る訳でもないし、特別感傷的になっている訳でもないのだが、精神とはとっくに交信不可能になっていたにもかかわらず、肉体的な死は緩慢に遅れに遅れて我々を不意打ちする、そこに不意を打たれた。この取り立ては忘れられたかのように見えて、決して忘れられることはない。我々が取り立てを忘れる時を待っていさえするのだろう。そのことを彼の死によって思い知らされた気がする。

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