イタリア映画祭2006@有楽町・朝日ホール(1)

イタリア映画祭2006 公式ホームページ
 上の続きになるけど、イタリア映画って、大人という感じで、何だかホッとする。大人による大人のための映画、っていう感じかなあ。例え、同じ脚本を翻案しても、日本だと、どうしても妙に青臭かったり、背伸びした感じが子供に見えてしまうだろうなあ。
 全ての作品が傑作というわけでもないけれど、こうしてまとめて見ると、何となく今のイタリアやヨーロッパの世の中の雰囲気が分かったような気になれるのが、この映画祭の良いところ。監督や俳優さんも間近で見ることができるし、その上、協賛のバリラのスパゲティーのおみやげまで貰える。ごっつあんです。今年は細いタイプなのかな?去年は1.8mm貰ったような気がするけど、今年は1.4mmだった。ホントかな?我ながら、賤しいというか、映画よりも食べ物のことを覚えてるんじゃないのか?と言う気がして、恥ずかしいですが。。。

12:00 a 「ゲーム」 D 「心の中の獣」
「心の中の獣」
La bestia nel cuore (Cristina Comencini)
2005年/120分/監督:クリスティーナ・コメンチーニ

http://www.asahi.com/event/it06/works.html#d
 幼児虐待のトラウマの話。これが悲惨な話なのは、世の東西問わないだろうけど、その大人のイタリアの文脈の中におくと、一層痛ましい、おぞましい話ではある。主演のジョヴァンナ・メッゾジョルノも良いのだけれど、サイドストーリーの盲人の友人と夫に捨てられたおばさんの話の方が、むしろ良かった。好対照を作って、笑いを持ち込んで、救いを与えるという意図なのだと思うけれど、 今の世の中で「正常」なんて何か?なんて言う問に誰も答えることが出来るわけもないし、「家族」の崩壊に思い悩むよりも、自分は自分、と個人として幸せを追求すれば良いんじゃないの、という彼女たちの姿の方にむしろ共感を覚える。余り、幼児虐待に対して実感を持てないからなのかもしれないけれど。

15:00 i 「風」 I 「クオ・ヴァディス、ベイビー?」
「クオ・ヴァディス、ベイビー?」
Quo vadis, baby? (Gabriele Salvatores)
2005年/105分/監督:ガブリエーレ・サルヴァトーレス

http://www.asahi.com/event/it06/works.html#i
 これもDVものと言えるかもしれない。女探偵のサスペンスものなのだけど、そこはイタリアっぽい。寡黙な「大将」と呼ばれる父、十六年前に自殺した姉、酒とドラック浸りの女探偵、というex家族の話。ハリウッドだと、まずあんなカジュアルな生活の一部というスタイルで、マリファナが出てこないんだろうな。この雰囲気はなかなか面白い。でも、今さらジョイデビジョンでもないだろうが、という気もする。ヨーロッパの本土はああいうどろどろっとして延々単調なのを大音量でやるのが好きなのかなあ。「夜よ、こんにちは」も1978年だからか、Pink Floydの"Shine On ..."だったしね。映画だけなのかな。ロックに関しては、イギリスとアメリカ以外なら、日本の方がもう良い線いってるんじゃないかなあ。

アンドレア・レンツィ

18:00 b 「疑惑」 B 「私が望む人生」
「私が望む人生」
La vita che vorrei (Giuseppe Piccioni)
2004年/125分/監督:ジュゼッペ・ピッチョーニ

http://www.asahi.com/event/it06/works.html#b
 劇中劇では女は男の犠牲になり病気で死んでいくが、劇外劇(?何て言うんだろう?)では女は自立して最後は男を屈服させる。ここの対照が面白い。劇中劇と劇外劇も話の内容が実に上手く絡み合っていて良い。ルイジ・ロ・カーショにこの嫌な男をやらせたのが、実に上手い。

開会式の様子。

ジュゼッペ・ピッチョーニ監督とサンドラ・チェッカレッリ