11/26 東京FILMeX『アコード・ファイナル』

France, Switzerland / 1938 /82min.
監督: ダグラス・サーク、イグナツィ・ローゼンクランツ(I.R.ベイ 名義)
出演: ケーテ・フォン・ナギ、ジュール・ベリ

 これすごく良かった。ちょうど『のだめカンタービレ』には待っている最中に見たこの映画、音楽学校が舞台。やっぱりティンパニーの子がイケてなくて同じような系統のキャラ、というのは、みんな偏見は一緒なんだねえ。まあ、忘れたころに、ドンドコ出てくるような楽器だから、こういうイメージもたれやすいんだろうなあ。でも、院長にダメといわれても自分たちでオケ作っちゃうとか、Sオケみたいで、まあ、音大ものとしては定番の展開と言うことなんだろうけど、奇遇。
 世界的なバイオリン奏者のアスターはラジオのライブ放送のために、パトロンであるスイスの男爵家にやってくる。渋滞でなかなか国境も突破できないのだが、前のマネキンを運んでいる車に忍び込んでマネキンのフリをして、何とかやり過ごす。だいぶ遅れて到着したが、そこまではレコードをかけて誤魔化していたんだけれど、A面が終わるところで見事に到着。この辺の馬鹿馬鹿しさ、テンポ、それから細かいところが、いかにもヨーロッパで気が利いていて楽しいのだ。
 演奏後のパーティーアスターは男爵と賭をする。それは明日10番目に音楽院に入る女の子と1ヶ月以内に結婚できるか?というもの。で、10番目の女の子をものにするべく、世界的な音楽家アスター君は音楽院に入学してしまう(笑)。そんなのばれるだろうが?!でも、映画だからばれない。それにテレビなんか普及していなかった時代だから、顔なんかわからない(訳ないだろう、写真や雑誌はあったろうが?!)。で、ラブレターをコートに入れるんだけど、実はそのコートは友達の借り物。待ち合わせ場所に現れたのは、そのお友達の方。でも、アスターはその子を気に入ってしまう。で、友達が指揮者の試験落とされたり、なんやかんやあって、いよいよ、アスターの演奏会の日がやってきて、みんなは彼がアスターだったと知って仰天。でも、男爵も賭の契約書の名前を間違えていたので、賭は結局アスターの勝ちで、最後は二人の結婚式でめでたしめでたし。こう書くと何が何だかわからないが、大体こんなたわいない話。
 で、これがダグラス・サークと言うのが、たまらない。もう陰々滅々たる悲劇作家みたいに思っていたんだけれど、こういうのやらせてもやっぱり上手い。