「海辺のカフカ」:村上春樹 (3)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

 読み終わっても、つっこみどころが沢山ありすぎるので、妄想する。

  • 田中カフカ君のお父さんはジョニー・ウオーカーだったのだろうか?
    • ナカタさんが幻覚状態だったのだと思えば、つじつまは合うような気もする。それにしては、あまりにこの人についての記述が少なくて謎である。
    • なんだか、スターウオーズみたいだな。そう考えると、カフカ君がルーク・スカイウオーカーで、お父さんがダースベイダーで、サクラがレイア姫で、佐伯さんがアミダラで、ナカタさんがハンソロで、カーネル・サンダースヨーダなのだろうか?
  • 佐伯さんとサクラは、本当のお母さんとお姉さんだったのか?
    • メタファーとしてはそうだし、事実としてそうであるかどうか、と言うのはあまり問いつめても意味がない。もし、本当にそうだと言うことになっていたら、馬鹿馬鹿しいし、違うとわざわざ書かれていたら興ざめだ。
  • カーネル・サンダースは結局何者だったのか?
  • 戦時中の集団失神事件は結局何だったのか?
    • ナカタさんをナカタさんたらしめる事件だった訳だけど、これがどうして、この話にまで繋がってくるのか?先生の性的な夢とカフカ君が毎夜見る15歳の佐伯さんと繋がるのだろうか?
  • 理由ありの大島兄弟って、結局何者?
    • 半分、向こう側の人たちという感じだ。
  • カラスの少年って?

 真面目に考えても仕方ないんだけど、このガラスのように脆い調和に満ちた村上春樹の世界って何なんだろう。内ゲバや戦争で無意味に死んでいった人たちと、雷に打たれても偶然死ななかった人たち、彼らに残された人たち。人とは違う世界に半分身を置いて生きているナカタさんや大島兄弟のような境界の人たち。現実の世界で生きているサクラさんやホシノくん。その世界を行き来するカフカ君。これは父殺しの物語のようで、カフカ君は手を汚さない。それは、ナカタさんが引き受けてくれる。佐伯さんまで含めて、ナカタさんが全部やってくれる。カフカ君は「世界一タフな15歳を目指す」と言いながら、直接タフなことには手を染めない。それは、全部ナカタさんの仕事になっているような気がする。これで良いんだろうか?彼は、この一連の出来事を経て大人になったんだろうか?彼は、やはり、中学を卒業したら、甲村図書館にやってきて、大島さんの助手になるんだろうか?なんだか、どうにもすっきりしない。