「犬が星見た ロシア旅行」武田百合子

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)

読了。武田泰淳竹内好との昭和四十四年六月十日から七月四日までのロシア旅行記

大きな忘れ物−−−東京に置いてきた「時間」。旅をしている間は死んでいるみたいだ。死んだふりをしているみたいだ。

何か、分かるような気がする。名言。

柔道試合のように、主人と私は踊る。踊りながら主人は何度も聞く。
「やい、ポチ。旅行は嬉しいか。面白いか」
「普通ぐらい」

なんだか、本当にポチっぽい答えだなあ。

「旅行者って、すぐわかるね。さびしそうに見えるね」
「当たり前さ。生活がないんだから」

名言2。

どうしてあんなところに、いまごろ犬とにわとりと人がいるのだろう。人は荷物を提げている。今見えていることは、年取ってからも覚えていそうな気がする。

きっと実際には覚えちゃいないのに、そんな気がすることってあると思う。

あまりに面白かったので、下の本も全部読むことに決定。

富士日記〈上〉 (中公文庫)

富士日記〈上〉 (中公文庫)

富士日記〈中〉 (中公文庫)

富士日記〈中〉 (中公文庫)

富士日記〈下〉 (中公文庫)

富士日記〈下〉 (中公文庫)

日日雑記 (中公文庫)

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KAWADE夢ムック 文藝別冊 武田百合子

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