諸星大二郎自選短編集 彼方より (集英社文庫(コミック版))

諸星大二郎自選短編集 彼方より (集英社文庫(コミック版))

やっぱり、面白い。昔一度どこかで読んだはずのものも入っているのだが、オチを忘れているので、新鮮だ(爆)。
収録作品:

  • 『生物都市』
    • 初期作品。その後の作品の原点がここだったのか。
  • 『海の中』
    • 短編はオチが命。見事。異様なまでに完全な短編。
  • 『天神さま』
    • 民俗学系の傑作。これは本当に怖い。
  • 『僕とフリオと校庭で』
    • 切ないSF。この少年の始めての友人との別れの痛み。それは、宇宙人と同様に彼にとっては未知なるものなのだ。
  • 『ど次元世界物語』
    • これは珍品。こんなスカスカの諸星大二郎なんてあったのか。
  • 『ヨシコちゃんと首たち』
    • これも、何だか昔の文芸部の同人誌みたいな作品だ。
  • 『桃源記』
    • 中国もの。
  • 『男たちの風景』
    • これも見事なオチ。
  • 『カオカオ様が通る』
    • これは訳が分からなくて凄い。スウィフトとバルデュスが共作しても、こんな漫画は書けなかったろう。
  • 『砂の巨人』
    • アフリカもの。これはちょっと中途半端で、もっと続きが長くありそうな話。
  • 諸星大二郎の女たちは、みなぽっちゃりとした肉感のある体つきだ。唇もちょっと厚みがあって、エロチックだ。肉を持ち、血を流す女たちだ。男たちも、みんな太い骨を感じさせるような、そんな絵だ。故・手塚治虫をして、「僕は大友君の絵は真似出来ますよ、でも、諸星君のだけは真似出来ない」といわせたのは有名な話だけど、世界と時空を自在に設定しても、決してトーンの変わることのない、見まごうことのない諸星大二郎という刻印の押された絵=世界。