週末は雨で出かける気がしなかったので、読書に専念。

『心は転がる石のように』四方田 犬彦

  • 四方田先生、相変わらず面白い。やはり、毎年1冊出る先生の本が日本最強のブックガイドかもしれない。数頁の短いエッセイが続くから、書けばネタばれになってしまうので、これ以上書かない。でも、東大の文学部のゼミで「先生、ドストエフスキーって誰ですか?」と言う質問がついに出てしまった、というのにはのけぞった。試験に出せ、試験に。正直言って、「今の若い連中、あいつらは敵だ」と思った。そういえば、ライブドアホリエモン文三中退か。あんな身も蓋もない感じなんだろうなあ。読んでも無駄だから、おまえらは本なんか読まなくていい、と言いたくなるなあ。それなら、もう俺はオヤジで良いよ、と思った。
  • 出てくる本の一部

バースデイ・セイント

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こっそり読みたい禁断の日本語

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鉄道ひとつばなし (講談社現代新書)

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結婚の条件

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オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)

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オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)

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ヤクザの文化人類学―ウラから見た日本 (岩波現代文庫)

ヤクザの文化人類学―ウラから見た日本 (岩波現代文庫)

『汝、神になれ 鬼になれ』諸星大二郎

  • 『心は転がる石のように』には、奇形博物館を訪れて、そうした標本を人間が見ずにいられないのは、自分が人間であることを確認したいからだ、と言う話が出てくる。それは、そのまま諸星大二郎のどろどろの怪物にも当てはまるな、と思った。このどろどろ物は、一体どこにイメージの起源があるのだろう?他者と自分の境界が消滅し、自分の意識が別の何か、それはそのものに意識があるとは思えないが意志だけは持っているような、とてつもなく暗いもの、本来は闇とは光がないという虚空である筈なのに、光の下でも存在する物質化された闇、局在するブラックホールのような何か、にじわじわと飲み込まれていくという恐怖。恐怖というのは、分からないから恐怖なので、これが何かを考えても仕方ないのだが。『復讐クラブ』や『生首事件』のブラック・ユーモア(というより、”暗黒ユーモア”と呼びたい)を書かせても、無茶苦茶うまい。やはり、短編はオチがびしっと決まらないと、格好がつかない。『復讐クラブ』は、映画にするなら塚本晋也だろうか?『逆立猿人』も抱腹絶倒。