• ある殺し屋の鍵(1967年/カラー/80分)ニュープリント上映
    • 監督:森一生 原作:藤原審爾 脚本:小滝光郎 構成:増村保造 撮影:宮川一夫 共演:西村晃、佐藤友美
    • 『あたしも連れてって!』『金でどちらにでも転ぶ女に用はない。』ガ━━(゜Д゜;)━━━ン!!!!!このセリフ、いつか自分で言ってみたい。やはり、あのきちんとしたセリフ回しが雷蔵の魅力の一つだと思う。あの口調でああ言われたら、自分で気に入ってしまったのでコピペあえて繰り返しますが、ガ━━(゜Д゜;)━━━ン!!!!!と言うしかないでしょう。そもそも、タイトルが何とも言えない。『ある殺し屋の鍵』。この『ある』って、何なんだろう?うまく説明出来ないが、これがないと『殺し屋の鍵』で、全然締まらない。最近流行の一流半の仏蘭西の監督のつまらなそうな映画のタイトルみたいな感じがする。殺し屋が拳銃を納めたロッカーの鍵を偶然拾ってしまった人妻が、それを取り返そうと近寄ってきた殺し屋と不倫関係に陥いりそうになり、そのうちに殺し屋の方が本気になってくるのだけれど、人妻がやっぱり子供もいるし、と家庭に帰っていき、殺し屋には鍵だけが残される、みたいな、見たくもない映画のタイトルみたいだ。それが、『ある殺し屋の鍵』と、この『ある』がついただけで、いかにも60年代的なもったいぶった上村一夫的な凄味が出てくる。そもそも、『ある』をつけるほど、世の中に殺し屋がごろごろ転がっているのか?あなたは殺し屋を何人知っていますか?でも、『ある殺し屋』。『ある殺し屋の鍵』。ああ、たまらない。
    • 殺しの手口も、これはちょっと強引すぎないか?プールでの殺人は、ショットの切り返しでうまく現場から消えているけど、最後の政治家暗殺のところは、あの記者会見の場でカメラマンが後ろに回って首に針指したら、幾ら市川雷蔵でもばれるでしょう!まして、現場に落とした鍵を取りに帰ったら、逮捕されるでしょう!あまりに強引すぎ。魔法のマントを被ったハリーポッターでもなければ無理、無理、無理。市川雷蔵見に行ってると思えば、こういう筋の細かいところはどうでも良いんだけど。
    • 相手役の佐藤友美もなかなか良かった。チャーミングで色気があってがめついけど、どちらにも言われた通りにしているだけで、そんなに憎まれるようなことはしていないけど、最後にガツーンとやられてしまう。その後の一番最後でロッカーに爆弾が仕掛けられた、と言う通報があって、警察があけて調べるところ、あれって単なる偶然という設定で良いの?彼女が電話かけているカットが記者会見の前にあったけど、彼女が通報できる訳ないもんね。何か、脚本ボロボロ。でも、宮川一夫大先生の撮影と市川雷蔵の芝居で見せられちゃうんだよな。
    • それから、ヨットのシーンで、太平洋戦争と思しき白黒フィルムが挿入されるけど、ああいうのって、監督のいろいろな思いみたいなのはあるのかもしれないけど、この主人公のニヒルさ、ドライさを考えると、この話には不要だったのではという感じがして、何故か記憶に残ってしまった。ヤクザもこのころはネクタイ締めてきちんとしたかっこしてたのかな?サングラスかけてれば立派な不良?みたいな良い時代だったのだろうか?
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