• 創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク

    創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク

  • 山形浩生訳。というだけで、分かる人には、ピンと来るのではないか。この『創発』という言葉、ありそうでなかった造語のようで、ATOKで変換しようとしても出てこない。最近は野村総研がよく使っている。『ゲーテル・エッシャー・バッハ』とか、あの流れのニューサイエンス本、という分類になるのかな。著者は文系出身のジャーナリスト。この手のものは著者がどれだけ博識かというところで、内容の密度が決まると思うが、結構良い線行っていると思う。只、この手のものはアナロジーのためのアナロジーという趣があって、理系的にはつっこみ入れたくなるところもないではないが、すごく少ない。ジャーナリストとして優秀。とはいえ、個人的には、こうした複雑系って、n→∞とできないから、統計力学にはできないというだけの話の世界、と思って良いのかどうか?とか、分岐やアトラクターに陥るから、ある意味解がない世界、何が解なのか?とか、そう言う疑問がいっぱいある。この世界で何が解けた問題で、何がまだ解けていない問題、何が解かなければいけない問題なのか、そう言うことを他分野の理系一般向け位のレベルで解説した良著って何かないかなあ。