香港旅行記(2)

 二日目=12月20日。

 朝飯はホテルに隣接するスタバで。マクドナルドと一緒で、ここも世界統一仕様です。香港スペシャルみたいなものは見あたらなかった。サムソンとか、現地のニーズを捕らえるために、地域専門化の要員を1年その国に送り込んで徹底的にその国を学ばせると言うけれど、アップルとかマクドナルドみたいに世界中で受け入れられるモノ作れば、そんなことする必要ないし、ライフスタイル変えるのって、そういうモノだし、そういうことできるのがブランド。どちらが良いとか悪いとかじゃなくて、それは会社のあり方だよな。などと考えながら、ソーセージロールみたいなもの食べて、コーヒー飲んでた。

 ホテルのWiFiも来てるけど、二本くらい。昨夜セブンイレブンで買ったWiFiカードを早速投入。24時間有効のWiFiアクセス権をカードとして売っている。スクラッチして、ユーザーアカウントとパスワードを入れる。HK$20なので、250円くらい。WiFiルーターをレンタルする手もあるけど、1日1200円くらいするので、それに比べると大分安上がり。ずっと使ったのは、PCCWという香港では一番メジャーな会社のカード。ホテルで使えればいい/休憩時に使いたい/移動中にマップ見たり、お店探したいという人は、不要/WiFiカード/WiFiルーターで使い分ければ良いんじゃないのかな。データ・ローミングが安くなれば、何も考える必要ないんだけどね。このPCCWとY5(ヤフー系?)がメジャーなとこみたいです。Y5はマクドナルドで20分無料みたいだけど、使い方がよく分からなかったので、使わなかった。

 さすがに暖かく、朝晩は上着があった方が良いけれど、昼間は長袖のシャツで十分で、なにか羽織ると暑いくらいだ。朝晩もそれほど気温は下がらない。さすが南国で、毛穴が開くような気がするw

 まずは、油麻地駅にオクトパスカードを買いに行った。HK$150のプリペイドカードで、これ一枚で地下鉄もバスもフェリーも大体OKみたい。ヴィクトリア・パークの展望台へ登るトリム(登山電車みたいなの)もこれで乗れた。1回無くしたけど、便利なので、悩まず買い直した。使い切れなかったけど、それでも、不慣れな観光客としては、すごく助かる。たしか、これはSuicaと同じFelica方式だったと思う。ということは、日本だって、Suicaももっと使いやすくできると言うことだよね・・・。技術よりも、それを生かせる行政や会社のITリテラシーみたいなものの方が問題だなあ。今回の香港旅行はこういうところ考えさせられるところが多かった。
 何にせよ、この二枚のカードは、まず、ゲットすると良いと思う。

 ホテルは、油麻地駅と佐敦駅の真ん中よりは、佐敦駅寄り東側。ホテルを出た辺りの感じは、道も広くて、何かアメリカっぽい。それが、油麻地駅へ向けて歩いていくと、汚いビルがどんどん増えて、看板がどんどん道路の上にせり出してきて、どんどん混沌としてくる。これが香港か。とんでもないところに来てしまったもんだな、と思った。何にせよ、地下鉄に入り、窓口でオクトパスカードををゲットしたところで、地上に戻り、弥敦道を南下する。
 初めての街に来たら、まず、その大通りを端から端まで歩くことにしている。そうすれば、多少は土地勘がつくし、ちょっと迷っても、そこを中心に大体の見当はつくようになるし、見たことのあるところに出れば、後は何とかなる。地図を持っていれば分かる人のいるのだろうけど、地図だけを見ても、なかなか方向感が働かない。地図の情報を自分の頭の中にイメージとして展開する作業というのがないと、どうしてもピンと来ないのだ。それで、かなり初日は疲れるけれど、そこを乗りきれば後は何とかなる。香港の九龍側は、この弥敦道を押さえておけば、大体事足りた。地下鉄もこの道路に沿って走っている。

 弥敦道と書いているけれど、英語表記では、Nathan Road。この中英併記というのが悩ましい。見て頭に残るのは漢字の中国名だが、読めない。なので、英語を音としては読むことになる。漢字に英語のフリガナがついているような感覚だ。読めない漢字ばかりが町中に並んでいるのを見ると、何とも息苦しい。何となくイメージは湧くのに、言葉から音を奪われてしまったかのような感覚。
 昔、授業を取った偉い先生が「フランス語なんて、短い単語は全部飛ばして、英語だと思って読めば、大体意味は分かります」と凄いことを言っていたが、ひらがなのない中国語を見ていると、それはこういう感覚なんだろうか、と思った。
 時計屋、宝石店、乾物屋、お菓子屋、薬屋、・・・。看板、看板、看板、・・・。

 息苦しいので、西側にある九龍公園を覗いてみた。大きな鳥小屋があるのだけれど、作業中で見ることができなかった。仕方ないので、池に行くとフラミンゴがいた。奥の方まで広がっているみたいだけど、起伏が多くて、広々した感じはない。暇そうに新聞を読んでいる爺さんが良い感じ。

 この辺りの樹は気根が出ている。寒いところの針葉樹は上へ上へと幹を伸ばそうとするけれど、暖かいところだと、下へ下へと根を伸ばそうとする。人間もそうかもしれない。寒いところの人は、現状を変えようと難しいことを考えようとするので文化や科学が発展するけど、暖かいところの人は、現状に満足でだらんと楽に生きているような・・・。

 公園を出て弥敦道に戻ると、ちょっとしたショッピングモール。向かいのデパートにはユニクロと無印が入っているようだった。このショッピングモールの南端が尖沙咀駅。ここから南はさらに混沌とした繁華街。この辺にモスクもあった。インドとかパキスタン辺りの人も結構見かける。


 さらに、南へ、南へと進む。大通りに突き当たるとペニンシュラ・ホテル。地下道を通り、海側に進むと、「そごう」の地下に。地上に出て、海側に進むと、星光大道、Avenue of Stars。香港映画のスターの手形が道路に埋まっているという、あれです。ここからは、対岸の香港島が一望できる。絶景かな、絶景かな。上へ上へと競い合って空に伸びる対岸の金融街の高層ビルの群れが一望できる。


 腹も減ってきたので、ここで香港文化中心内の「映月楼」という店で飲茶。肉まんみたいなのが美味かった。写真付きのメニューがあって、ここは助かった。場所的にも観光客を意識したこじゃれたお店。飲茶の作法は一通りガイドブック読んでおいたので、助かった。


 腹ごしらえしたところで、向かいの香港芸術館を見物。あんまり期待してなかったのだけれど、結構面白かった。
http://www.lcsd.gov.hk/ce/Museum/Arts/english/aboutus/aboutus.html
 各階毎にテーマ別展示をしていた。まず、Pan Tianshouという香港の大家らしき人の回顧展、中国画というのは、囲碁なんかと同じで構図が命なんだな、というのがよく分かる展示だった。50,60になってからの絵の大胆さが凄い。画面の中に気の流れが渦巻いているような感じ。壁一面の大きな絵が多く、迫力あった。
http://www.lcsd.gov.hk/ce/Museum/Arts/english/exhibitions/exhibitions01_oct11_02.html
 それから、「東西共融」として、西欧向けに輸出された中国人による絵画の展示。殆どがプロフェッショナルな教育を受けていない中国人が、見よう見まねで西洋画の遠近法などの手法を取り入れて、中国の風景を輸出用に描いた絵の展示。
http://www.lcsd.gov.hk/ce/Museum/Arts/english/exhibitions/exhibitions01_jul11_02.html
 Wu Guanzhongという人の回顧展も、格好良かった。考えてみれば、中国画から抽象画なんて、1歩じゃなくて半歩くらいの距離なのかもしれない。
http://www.lcsd.gov.hk/ce/Museum/Arts/english/exhibitions/exhibitions01_oct11_03.html
 書画も展示されていたけれど、楷書が多くて驚いた。日本で書画というと、読めなくてナンボ、みたいなイメージがあるけれど、ちゃんと読める字がこうして評価されてるのか、と意外な感じがした。まあ、ひらがなが無いということもあるのかもしれない。読めない草書もあるにはあるけど、楷書が圧倒的に多かった。
http://www.lcsd.gov.hk/ce/Museum/Arts/english/exhibitions/exhibitions01_jul11_03.html
 後の常設展は、陶磁器が多かった。景徳鎮とか。好きな人にはたまらないんだろうな。
 特設展の視点もなかなか面白かったので、行って良かったな。


 この後は、ブランドショップが集まる廣東道をブラブラ。クリスマス前ということもあるのか、入場待ちの行列が出来ていたのには驚いた。香港の物欲恐るべし。バーバリーの上がカレーのココイチだったりするのが、笑っちゃう。

 ここから南にまた向かい、「1881年創建の水上警察本部の建物を改修した」という1881ヘリテージを覗く。クリスマスツリーとメリーゴーランドで華やかだった。ここもお洒落スポットみたいだ。この辺で、小雨がパラパラ来たけど、しばらくすると止んだ。

 ここの向かいはフェリーの発着所。いよいよ、フェリーで香港島へ。大分歩いて疲れたけど、夜景を見に行くことに。フェリー乗り場はいかにもという感じで旅情。乗り場のテレビでは、北朝鮮のニュース。これを見て大声を荒げる変な兄ちゃん。よく分からないけど、何か、この乱暴な感じがヒリヒリ来る。フェリーは乗ってしまえば、どんぶらこ、どんぶらこ。12月でも、寒くはないので、楽しいです。ただ、乗り場が地下鉄の駅からちょっと離れているし、そもそも、地下鉄で行けるので、観光には良いけど、そんなに便利なものでもないです。でも、船の行き来は多いので、船が近づいてくると、やっぱり、良いです。一度も乗らぬ馬鹿、何度も乗る馬鹿というとこでしょうか。夏なら、何度でも乗りたいんだろうけど。

 船を下りたら、階段を上り、橋というか、遊歩道へ。香港島側は遊歩道多いです。遊歩道を歩いている限りは道にも迷わないし、信号も関係ないので早いです。地上の道は車が走るもの、という感じです。
 しかし、この橋がまた長い。左側の辺りは工事をしているみたいで、何か、成長しているんだな、ここは、という勢い感じます。この頃になると、ネオンもついて、段々華やかになってきます。
 歩いていると、右側に見慣れたロゴが!そういえば、この辺りは発売日の前後に何かで見た覚えが!そうです、Appleストアです。

 これは行ってみるしかないね、ということで行ってきた。基本的なパーツは、日本のアップルストアと一緒ですね。ただ、御客も店員さんも香港人なので、すごく賑やかで活気があります。店員さんもクリスマスということで何か赤いものを着ていました。面白いのは、ここは2階と3階が螺旋階段でつながってるんです。普通のテナントなら、同じ床面積なら同じフロアに広く敷地取ればいいですよね。多分、その方が安上がりでしょう。でも、螺旋階段で2階と3階を繋いでいるんですよね。ここで腰を据えてやるという気持ちが入ってるのだと思います。調べてみたら、オープンは今年の9月だった模様。
 http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/058/58620/
 このビルというかモールは、金融中心というのがあって、しかも空港に向かう路線や地下鉄の路線が集まる香港駅の真上、というお台場に六本木ヒルズと東京駅を持ってきたような超一等地。そこで、ブランドショップと並んで店を構えている訳です。そこらの小さな電気屋で売ってるものとは違うんだと言わんばかり。日本のように量販店が頑張っているところと違って、本当に小さな店ばかりなので、そこで並べられていたら、ブランドイメージなんて十把一絡げにしかならない。同じ店で並べて売られているんだから。何言っても無駄ですね・・・。アップルストアのブランドイメージ構築の威力は、日本以上に海外では大きいな、と痛感。

 その後、このIFCショッピングモールをぶらぶら。九龍側のごみごみした空間から、一気に東京並かそれ以上の近代空間に来たという感じで、なんかホッとする。まあ、欲しいモノもないし、歩き疲れたので、スタバで一休みして、ヴィクトリアパークへの行き方を確認して、出発。

 良く理解してなかったので、地上をてくてくとトリムの駅まで歩く。もう日も暮れていたんが、中心街なのでさすがに治安の不安は感じなかった。地上から見上げる高層ビル、クリスマスのネオンサインはなかなかの見物だった。ただ、道路も広く数車線で信号もあまりないので、結局遊歩道を歩かざるを得ない。出来るだけ、歩くなら遊歩道を歩く、歩こうとしないでバスや地下鉄を使うほうが香港島側では移動しやすい。

 まあ、どうにかこうにか、トリムの駅に到着。ここも切符を買う行列が決行できていたが、オクトパスカードを見せると、並ばずに改札通過。この行列で前に並んでいた地元のカップルが、待ち時間もせっせとスマホをいじっていた。見ると、男子はAndroidで女子はiPhone。何か、こういうパターン多かったような気がする。香港も日本以上にスマホ普及している感じ。しかも、歩きながらやってる人が多い。電車の中もそう。せっかちな人達だから、こういう空き時間に何かしないと気が済まないので、日本以上にはまっている感じがする。
 で、トリムに乗り込む。オススメは夜景が見える進行方向右側。ただ、傾斜がすごいので、乗っていて余り良い気分ではなかったw
 駅から降りると、お土産物屋が並ぶビルの地下。このお土産物屋を延々と巡らないと、ビルの屋上の展望台に行けない。すっかり腹も減っていたので、ここの地下のファーストフードっぽいところで夕飯。マダム・タッソーの館もあるけど、疲れてきたのでパス。

 展望台からの流れはさすがに見事だったけれど、霧雨気味だったので展望は今一だし、肌寒いくらいだったので、早々に退散。

 あのトリムにまた乗るのも嫌だったし、トリム降りてからの地下鉄への接続も悪そうなので、山頂からはバスで帰ることに。展望台の反対側のビルの地下の駐車場からバスが出ている。小型のバスが来たのでこれに乗り込む。このバスが急な山道を飛ばす、飛ばす。トリムも嫌だけど、これも嫌だったwこのバスもオクトパスカードでOKだった。このバスで中環まで行き、後は地下鉄でホテルに帰る。


 結局、この日は2万5千歩以上歩いた。毎年、フジロックでも2万1千歩位なので、それ以上歩いていたことになる。疲れたので、帰ってバタンキューだった。

 以上、2日目。今回の旅行はあんまり書いて置く程面白いこともなく淡々と進んだんですが、備忘録的にだらだらと続きます。