今週のマンガ3点

ホタル ノ ヒカリ(14) (KC KISS)

ホタル ノ ヒカリ(14) (KC KISS)

 ケリをつけなければいけないところなんだけれど、意外にこの場に及んで部長が勝手で男/会社の論理に忠実だったりする。そういうものに背中を押されないと動けない男、というのも分かるし、妙にリアリティがありすぎるくらいだ。でも、この状況でこのオチは格好良すぎるなあ、普通、妥協するだろ、と思うけど、まあ、説得力はあるんだが、そこでこういう選択をすると、ほんとに干物だよ。つべこべ言わずにハッピーエンドにしろよ、と思うのが半分、最後で安直に妥協しろと言うんでは何のためにこれを書いていたんだよ?この結末を選んだのってすごくね?というのが半分ですかね。まあ、読後の心理的納得感は妙にあるんだよな。でも、考え始めると、こうだと言えない。その意味で、これは十分100点のエンディングではないでしょうか。続きがあっても良いかな、とは思うけど。
ちはやふる(5) (BE LOVE KC)

ちはやふる(5) (BE LOVE KC)

 幼なじみが熱意を取り戻したとたんに、最強ライバル出現で惨敗、一方でチームは体力アップのトレーニングまで始めてしまう力の入りよう。間に百人一首の解説まで入ってしまうこのお得感。うまい。うますぎる。これは盛り上がる。盛り上がりすぎる。
 スポ根って、ナンセンスだ、と否定され尽くした感があるけど、じゃあ、情熱ってどう描けばいいの?ということになる。スポーツでも何でも、人間のすることなんて、煎じ詰めれば、それ自体たいした意味なんて何もないんだよ。でも、人が動けば、人がそこに何かをかければ、そこに意味が生じる。それが博打の面白さ。それで地球温暖化がどうなる訳でもないし、経済危機が解決する訳でもない。でも、情熱は人の人生を変えてしまう。それで人生が変わる当人にとっては、それ以上のことなんて何もない。それが全て。
 こういう熱血マンガが少女漫画として成立してしまうって、すごいな。そういう時代なんだな〜。 よく考えると、これは単行本で持っているはずだが、文庫版を見て買ってしまった。で、読んでみると、読んだような気がしないこともないけど、面白い、でも、覚えていない(笑)。もうこの人に関しては「天才」と言うしかないので、何も言うことがないおもしろさなのだが、それにも拘わらず、自分が覚えていないという事実にむしろ衝撃を受けた。