いったいどうなるんだ、世界経済

 毎月レポートを頂いているアメリカの知人によると、もう、アメリカでは銀行の取り付け騒ぎに近い状況になっているらしい。実体経済から始まったと言う話ではないし、アメリカ発の騒ぎなので、いまいち実感がついてこない。そこがすごく不気味だ。基本的に、株価は実際の経済の動きを9ヶ月は先読みして動くと言われている。でも、今回はどうなのか、全くわからない。
 要は、アメリカの金融業界がろくに支払い能力もない人に低金利で住宅ローンを貸しまくった挙げ句に焦げ付いた、という、まるでサラ金まがいのばかばかしい話なのだが、単にそれだけで済ませられるような話ではなくなっている。世界中がアメリカ主導の金融システム、高度情報化資本主義みたいなもののいい加減さにはっきりとNOを突きつけている。「お前の言うことは信用できない。」と、世界中がアメリカに対してはっきりと言っている。エンロンとかヘッジファンドの辺りから、もううんざりしていたのだけれど、ついにくるところまで来たか、という気がする。
 なので、今回の株価暴落は構造的な相変化だ。従来の底値とかそういうものは全く当てにならない。そう簡単に今回の騒ぎは収まらないと思う。これがアメリカとイギリスを中心とするヨーロッパだけの話で済めばいいのだけれど、オリンピック後の中国経済に本格的に波及すると、経済だけの話では済まなくなる恐れすらあるだろう。多国籍企業、企業活動のボーダレス化を考えると、実体経済の方はまあそれなりなのだろうけど、国家が作っている法律や規制と密接に関わっている金融の世界では、国対国の経済戦争的な話になりかねない。
 そもそも、やたらと「実体経済」というのが変で、じゃあ、今の市場って何なのか(笑い)。仮想経済なのか?その仮想経済に実体経済は支配されているということ?今の市場が需要と供給で決まっているなんて、とても思えない。完全に投資家の心理的ゲーム(要するに博打だ)になっている。市場心理なんていうのもそういう話だ。何か、もうこれは行きすぎたというところまでいかないと止まらない。ぶつからないと止まらない。そもそも、機関投資家とかそういう大金を動かせるプレーヤーが力を持ちすぎた。一体、誰がそんな金を余らせているのか。
 22世紀の歴史家は、この金融危機をどう描くのだろうか。「9・11以降のアメリカの凋落」なんていう章のタイトル」が歴史の教科書に踊ったりするのだろうか。