たどり着けばいつもそこは雨降り


 昨日、コンビニで買った折りたたみ傘をホテルに置いて出かけたら、バスを降りた途端にどしゃぶりに。しばらく、お寺で雨宿り。新聞配達かなんかのおじさんが話かけてくるが、何言っているのか分からない。まあ、大体言いたいことは分かるような気がするので、笑ってごまかす。小ぶりになってきたので、あきらめて歩く。まあ、5月下旬くらいの感覚なので、それでも気持ちいいくらい。

 玉陵→首里。玉陵で気根というのを始めて見た。頭の上から根が垂れ下がっているのを見るのは、南国のおおらかさを見る思い。まあ、ある意味、パンツ丸だしというか、見せパンというか、だらしないなあ、というか、まあ、夏は暑いんだから、でも、今は一応冬なんだから、いい加減にしなさい、というのは、内地の感覚というか、大日本帝国的大きなお世話というか、いやはや何とも言えない南国旅情。

 ガジュマロの枝にはコウモリがぶらさがっている。餌付けされて、タマちゃんなんて名前までつけられている。ああ、ユルい。


 世界遺産の玉陵は屋根の魔除けの魔物(?)に守られて、3つの琉球王朝の募室の扉が並んでいて、開けるとボスキャラが出てきそうな不気味な雰囲気。
 大分雨も弱くなってきたので、首里城公園へ向かう。もうかなり小ぶりになったというのに、いまさらながら、売店で傘を売っているので、意固地になってゲット。ペチュニアがもう満開であの独特のにおいが。植物の植生がもう完全に違うので、見たことのない花があちこちに。みんな、花が大きい。大柄な姿に大輪の原色の花を咲かせている様は、ホンキー・トンク・ウーマンというか、派手な化粧の巨乳女というか、まあ、一言で言って、苦手なタイプだ。余計なお世話もいいところだが。


 首里城は実物を間近で見ると、ちょっとしょぼいような気もした。木造だからだろうか。特別展では、琉球王朝の楽器や装飾品、織物などの復元物が展示されていた。徳川家やベルリンの博物館のサンプルを元に作成したそうだ。文化というのは、こうして外の世界にまき散らされることで、保存されるのだなあ。流出というけれど、事はそんなに単純ではない。



 →首里そば。店を出たところで、スコール。やった!と、鬼の首をとったように、傘をさす。それにしても、この雨の勢いはすごいわ。


 →那覇バスターミナル。ついたところに46系統のバスが。ろくに確かめずに(嫌な予感はあったが)飛び込んだら、反対方面行きであることに途中で気がつく。どこで降りようかと思っていたら、市内を一周してバスターミナルに逆戻り。聞けば、糸満方面は道の反対側。釣られました。






 →糸満ひめゆりの塔那覇(赤嶺→牧志byゆいレール)、とここまで来たところ。延々と路線バスにのんびりたらたら乗っているのも、結構景色を見ていると楽しい。やっぱり、島なので、起伏や海など変化もある。受験生の地元の高校生が英単語一生懸命一緒に勉強してたり。それ、発音違うだろが!と絶叫しかけるが、いまさら自信なくさせてもなあ、と思いほっとく。「お父さんに、那覇じゃ受験できんのか?と言われたー」。ふむふむ。大変じゃのう。確かに遠いよなー。まあ、とにかく頑張れ(影ながら)。ひめゆりの塔は、はずかしながら、実はあまり良く知らずに行ったのだけど、悲惨な話だった。完全に米軍に包囲されている状況で、司令官は「死ぬまで頑張れ」と勝手なことを言い残してさっさと自殺してしまうし、四方八方を米軍に包囲された状況で「ひめゆり部隊は解散するから各自で頑張れ」というのは、死ねと言っているようなもんだろう。これをもって「集団自決しろとは言っていない」というのは無理あるだろう?沖縄戦での死者は約20万人。そのうち、米軍は1万人強。19万人弱の日本人のうち、2/3くらい、12万人以上が沖縄の人。この19万人の命が本土決戦の準備という名目での判断先送りの代償だ。それに加えて、原爆の死傷者の数まで加えると、一体どれだけの命が無駄にされたのだろうか。気が滅入るのは、彼らの死は無駄死にだったということだ。戦争にも負けた。とどめを刺すために原爆まで落とされた。だから、彼らの死を忘れてはいけないのだと思う。そう思うしかない。でも、そういう話って、国家レベルじゃなくても、良くあるんだよなああ。会社レベルでも、無理だからやめればいいのにやっちゃって結局失敗するって。もっと悪いことに、会社だと首謀者は定年で逃げ切ってしまったりする。はあ。まあ、何十万人の命じゃなくて、何十億円なんて大したものじゃないのかもしれないけどさ。こんなこと言っていると、遊びに来ている意味ないな。でも、中国とアメリカに同時に戦争を仕掛けるみたいな狂気を可能にする何かが、日本の社会構造にはあるんじゃないだろうか。多分、それは島国に特有の唯我独尊と深く関わったものだと思う。
 なんにせよ、今日も良い一日だった。。。よな?はい、さあ、飯だ。